ポウアカイ
ポウアカイ · ポウカイ · Pouākai
マオリ神話の怪鳥で、人を殺して食うとされる。成体のモアを仕留めうる巨大な猛禽で、15世紀頃に絶滅したハーストワシの記憶に基づくとする説がある。マオリの入植と同時期に、人と実際に出会っていた可能性が指摘される。
解説
概要
ポウアカイ(ポウカイとも)は、マオリの伝承に語られる巨大な怪鳥で、空から人を襲って殺し、食べたとされる。この伝承は、かつてニュージーランドの南島に生息し、15世紀頃に絶滅した史上最大の鷲、ハーストワシの記憶に基づくのではないかという説がある。マオリの人々がこの地に移り住んだのは13世紀頃であり、両者はおよそ二百年のあいだ同じ土地に暮らしていたことになる。
なお本サイトの分類では、ポリネシア神話の体系に含めて扱う。
人を狩る鳥
ポウアカイは山の上に巣をかまえ、空から人を襲って爪で捕らえ、殺したという。英雄ハトゥパトゥやテ・ハウ・オ・タワリウらがこの鳥を倒したと語られ、ある話では、人々が網を張って鳥をおびき寄せ、槍で仕留めたとされる。
ハーストワシ
ハーストワシは、ニュージーランドの南島に実際に生息していた、知られるかぎり最大の鷲である。翼を広げると2.6メートルから3メートルに達したとされ、体重が二百キロを超える飛べない巨鳥モアを獲物としていた。15世紀頃、マオリの人々によるモアの狩りで獲物が減り、ハーストワシも絶滅したと考えられている。
マオリの人々がニュージーランドに移り住んだのは13世紀頃で、ハーストワシとはおよそ二百年のあいだ共に暮らしていた。人を襲うこともありえた巨大な猛禽の記憶が、怪鳥の伝承として残った可能性がある。ただし、これは推測であり、伝承のすべてがハーストワシに由来すると断定することはできない。
絶滅した動物の記憶
絶滅した大型の動物の記憶が伝承に残ったとする説は、ほかの地域でも唱えられてきた。アラビアの伝承に現れる巨鳥ロック鳥を、マダガスカルの絶滅した巨鳥エピオルニスの記憶とみる説もその一つである。
図像と象徴
本サイトが掲げるのは、モアを襲うハーストワシの復元図(ジョン・メギー画)である。
関わる伝承
タニファなどとともに、マオリの怪物の系列をなす。
文化的足跡
ポウアカイとハーストワシの関係は、伝承と古生物学を結ぶ例として、ニュージーランドの博物館の展示でも取り上げられている。
なおマオリの伝統は今日も継承されている生きた文化であり、系譜(ファカパパ)は特定の部族(イウィ)に属する知でもある。本項の記述はその伝承に関する学術的な整理である。