タニファ
タニファ · タニワ · Taniwha
川の淵や洞窟、危険な海に棲むマオリの大きな超自然の存在。部族の守り手(カイティアキ)として敬われる一方、人を襲う存在ともされる。港や湖を刻んだと伝えられるものも多い。語はオセアニア祖語の「鮫」に遡るとされる。
解説
概要
タニファは、マオリ神話に語られる大きな超自然の存在で、川の深い淵や暗い洞窟、海に棲む。とりわけ流れの危うい場所や、波が思わぬ砕け方をする場所が棲み処とされる。人や土地を守るカイティアキ(守護者)として深く敬われる一方、伝えによっては人を襲う恐ろしい存在ともなり、女をさらって妻にする話もある。
名
言語学者は、タニファの語を「鮫の一種」を意味するオセアニア祖語 *tanifa に遡らせている。トンガ語やニウエ語のテニファ、サモア語のタニファは大きく危険な鮫を指し、トケラウ語のタニファは人を食う海の怪物である。
姿
海のタニファは、鯨や、ジンベエザメのような大きな鮫の姿で現れることが多い。ホホジロザメのマオリ名はマンゴー・タニファである。内陸の水に棲むものは、鯨ほどの大きさでもヤモリやトゥアタラに似て背に棘の列を持つ。流木のように浮かんで不気味に動くものもいる。雌雄がある。
伝承
地中を掘り進んで木々をなぎ倒すものもいて、水路を刻んで港を作ったとされるタニファもいる。ウェリントンの港テ・ファンガヌイ・ア・タラは二頭のタニファが刻んだといわれ、そのうち一頭の石になった亡骸は町を見下ろす丘になった。ワイカレモアナ湖もタニファが刻んだと伝えられる。タニファのアーライテウルは初期の航海カヌーとともにニュージーランドへ来て、その十一頭の息子がホキアンガ湾の入り江をそれぞれ作ったという。
守り手としてのタニファ
多くのタニファは部族と結びつき、部族ごとに自分たちのタニファを持つ。名高いタニファの多くは、特定の祖先のカヌーの守り手としてハワイキから渡ってきて、その乗組員の子孫を守る役を担った。敬意を払われれば、タニファは人々のためによく働き、霊媒である祭司を通じて敵の接近を知らせ、ときに溺れかけた人を救った。棲み処の近くを通る人々は、緑の小枝をふさわしい呪文とともに供えてなだめ、収穫期には最初のクマラやタロを捧げた。
図像と象徴
主画像は、タウポ湖の岩壁に刻まれた現代のマオリの彫刻の一部で、タニファを表したものである。
系譜と関係
カイティアキ(守護者)の観念に属する。ハワイの伝承の爬虫類の神格モオは、守り手でありながら人を害し、姿を変えるなど、タニファと多くの性格を共有するとされる。
文化的足跡
部族の守り手であることから、「タニファ」の語は敬意をこめて首長を指すこともある。2002年には、ワイカト地方の国道の改良計画に対して、ンガーティ・ナホの人々が予定地にタニファが住むと唱え、全国的な議論を呼んだ。
なおマオリの伝統は今日も継承されている生きた文化であり、本項の記述はその神格の伝承に関する学術的な整理である。