パルソローン
パルソローン · パルサラーン · Partholón
ノアの洪水の三百年後にアイルランドへ渡った二番目の来寇者。農耕・料理・醸造・建築をもたらし、平原を開き湖を生じさせ、フォモール族と最初に戦った。民は一週間で疫病に全滅した。名は聖書のバルトロマイに由来。
解説
概要
パルソローン(Partholón、現代アイルランド語パルサラーン)は、中世アイルランドのキリスト教的な疑似歴史の登場人物で、アイルランドに定住した最初の集団の一つを率いたとされる。
その名は聖書の名バルトロマイオス(バルトロマイ)に由来し、聖ヒエロニムスとセビリャのイシドールスのキリスト教的疑似歴史の登場人物から借りられたかもしれない。
神話・物語
多くの版で、パルソローンは、アイルランドに移り住んだ二番目の集団「パルソローンの民」を率いた者とされる。ノアの洪水からおよそ三百年ののち、無人の島にたどり着き、農耕や料理、醸造、建築をもたらした。パルソローンの民は四つの平原を切り開き、七つの湖を生じさせた。彼らが着いたとき、アイルランドには一つの平原と三つの湖、九つの川しかなかったという。土地そのものを造り出す渡来者なのである。
パルソローンは、トゥアハ・デ・ダナーンより前の渡来者で、フォモール族と戦った最初の者とされる。フォモールの王キホルとマグ・イーサで戦い、これを破った。
パルソローンの妻デルグナトは、召使いのトパと通じた。二人を見つけたパルソローンに、デルグナトは「肉を犬の前に置く者が悪い」と言い返したという。これが「パルソローンの嫉妬」と呼ばれ、アイルランドで最初の嫉妬とされる。数年ののち、パルソローンの民は一週間のうちに疫病ですべて死に絶えた。ダブリンの近くのタッラハト(「疫病の墓」の意)が、五千人が葬られた場所とされている。ただひとり生き残った者として、トゥアン・マク・カリルの伝承がある。
図像と象徴
固有の図像は伝わらず、本サイトも主画像を掲げない。
一週間で全滅するという結末が、この来寇者を規定する。文明の技をもたらしながら、痕跡を残さず消える。アイルランドの来寇史は、繰り返される到来と滅亡の連鎖として構成されている。
関わる神格・伝承
生き残ったトゥアン・マク・カリルは、フィンタンと同じくさまざまな姿に変じて後代まで生き、この物語を伝えたとされる。
文化的足跡
タッラハト(現在のダブリン市の一部)の地名は、この疫病の墓に由来するとされる。