ネンカタコア
ネンカタコア · ネム・カタコア · Nencatacoa
ムイスカの外套作りと芸術家と祭の守護神。トウモロコシの酒チチャを好み、酔った姿あるいは熊の姿で現れ、歩けなくなって人に支えられて運ばれるという。神が酔って人の助けを要するという造形は珍しい。
解説
概要
ネンカタコア(ネム・カタコアとも)は、今日のコロンビアのアンデス高原に栄えたムイスカの人々の宗教で、外套を織る職人や芸術家を守り、祭を司った神である。トウモロコシの酒チチャを好み、祭の場に酔った姿で、あるいは熊の姿で現れるとされた。神殿や家を建てる者の守り手でもあった。
なお本サイトの分類では、南米先住民の体系に含めて扱う。
織り手の神
ムイスカの人々がまとったのは、綿で織った外套(マンタ)である。綿やリュウゼツランの繊維を用いた織物は、ムイスカの人々にとって重要な産業であり、ネンカタコアはその職人たちを守った。布のほか、土器、金細工、彫刻、岩絵に、人や動物や記号の姿を描き出す芸術家たちも、この神の守りのもとにあった。同時に、宴や舞踏の神でもあり、芸術と祭の両方を司っていた。
酔った神
ネンカタコアはチチャを好み、祭のときには酔った姿で現れるとされた。あるいは、アンデスに住む唯一の熊であるメガネグマの姿をとるとも言われる。酔って歩けなくなり、人々に支えられて運ばれる姿も語られている。神が酔いつぶれて人の助けを必要とするという、珍しく滑稽な造形である。
建てる者の守り手
ネンカタコアは、神殿や家を建てる者の守り手でもあった。大きな木材を運ぶときには、この神に祈った。共同の労働が祭を伴うものであったことが、祭の神と建築の神が一つであることに表れている。
図像と象徴
本サイトが掲げるのは、ソガモソ考古学公園である。17世紀の年代記作者ペドロ・シモンによれば、ネンカタコアは、金で作られ外套をまとった森の獣の姿で表され、狐か熊によく似ていたという。
関わる神格・伝承
芸術家と職人の守り手であり、フイタカと祭の領域を分け合う。
文化的足跡
ムイスカの織物は湿潤な気候のためにほとんど残っておらず、その文様は、金製品や土器から推し量られている。
なおコロンビア先住民の伝統は今日も継承されている生きた文化であり、本項の記述はその伝承に関する学術的な整理である。