ナーン・ターニー
ナーン・ターニー · ナーン・マイ · Nang Tani
タイの野生のバナナの木に宿る女の霊で、満月の夜に緑の衣をまとった美しい女が足をわずかに浮かせて現れる。一般に無害だが、家の近くにその木を植えてはならず、木の下で眠る独身の男を誘惑するという。樹木の女神ヤクシニーとの類似が指摘され、今日は幹に宝くじの番号を浮かび上がらせるとされる。
解説
概要
ナーン・ターニー(Nang Tani)は、東南アジアのタイの民間伝承に語られる、野生のバナナの木(クルアイ・ターニー)に宿る女の霊である。満月の夜、緑の衣をまとった美しい女が、足を少し宙に浮かせてバナナの木の下に現れるという。ふだんは人に害をなさないが、家の近くにこの木を植えてはならないとされる。木に宿る女の霊の総称ナーン・マイの一つである。
神話・物語
ナーン・ターニーは一般には人に害をなさず、人々は花や線香、菓子を供える。けれども、ターニー・バナナの木を家の近くに植えてはならないとされた。独り身の男がその木の下で眠ると霊に誘惑され、霊を裏切った男には災いがもたらされるという。
タイでは、木に宿る女の霊をナーン・マイ(「木の女」)と総称する。タキアンの木に宿るナーン・タキアンもその一つである。大きな木を伐るときには、その木の霊に許しを乞う。
木に宿る女の霊は、インドの樹木の女神ヤクシニーとよく似ているとも指摘される。南インドのヤクシニーはケーララでニーリのような恐ろしい霊になったが、タイでは比較的穏やかな木の霊として残ったといえる。
今日では、ターニーの木の幹に宝くじの当たり番号が浮かび上がるとも言われる。人々は幹に白い粉を塗り、浮かんでくる数字を探す。
図像と象徴
本サイトの主画像は、ナーン・ターニーを描いた2012年の挿絵である。
系譜と関係
ナーン・マイの一つであり、メー・ナーク、クラスーとともにタイの女の霊をなす。
文化的足跡
ナーン・ターニーは、タイの映画やテレビ、漫画にしばしば登場する。
なお東南アジアの伝統は今日も継承されている生きた文化であり、本項の記述はその伝承に関する学術的な整理である。