クンティラナック
クンティラナック · ポンティアナック · Kuntilanak
インドネシア・マレーシア・シンガポールの復讐の霊で、マレー語ではポンティアナック。出産や妊娠中に死んだ女がなるとされ、白い衣と長い髪の美しい女の姿で現れ、近くにいるとプルメリアの香りがする。首の後ろの穴に釘を打てば人の妻として暮らすという。インドネシアの都市ポンティアナックはこの名を負う。
解説
概要
クンティラナック(マレー語ではポンティアナック)は、インドネシアやマレーシア、シンガポールに伝わる女の霊である。出産のとき、あるいは身ごもったまま亡くなった女性がなるとされ、白い衣をまとい長い黒髪を垂らした美しい女の姿で現れる。近くにいるときには、プルメリアの花の香りがするという。インドネシアの都市ポンティアナックは、この霊の名を負っている。
なお本サイトの分類では、東南アジアの神話の体系に含めて扱う。
出産で亡くなった女
クンティラナックは、出産のとき、あるいは身ごもったまま亡くなった女性の霊とされる。東南アジアのもう一つの女の霊ランスイルが死産した子だとする伝承もある。ふだんは白い衣をまとい、長い黒髪を垂らした美しい女の姿で現れるが、望めば恐ろしい本来の姿をあらわす。近くにいるときにはプルメリア(フランジパニ)の花の香りがし、その香りが腐臭に変われば、すぐそばまで来ているしるしだという。赤子の泣き声のような声を立て、その声が遠くに聞こえるほど、実はすぐ近くにいるとされる。
うなじの穴
クンティラナックのうなじには穴があるとされる。その穴に釘を打ち込めば、美しい女に戻り、人の妻として暮らすという。釘が抜かれると、再び霊に戻ってしまう。夫の手によって釘で抑え込まれる女という筋には、女性を制御しようとする考えが読み取れる。
霊を追い払って築いた町
インドネシアの西カリマンタン州の州都ポンティアナックは、この霊の名を負っている。18世紀、スルタンがこの地を開いたとき、霊に悩まされ、大砲を撃って追い払ったと伝えられる。町の始まりの物語が、霊を追い払う話と結びついているのである。
映画のなかで
1950年代のマレー映画以来、クンティラナック(ポンティアナック)は、マレーシアやインドネシアのホラー映画で最も重要な題材となっており、今日まで数十本の映画が作られてきた。
図像と象徴
固有の図像は伝わらず、本サイトも主画像を掲げない。
関わる伝承
ランスイルの子とされ、マナナンガル、クラスーとともに東南アジアの女の霊の系列をなす。タイのメー・ナークも、出産で亡くなった女性の霊である。
文化的足跡
クンティラナックは、今日もインドネシアとマレーシアで最もよく知られた霊である。
なお東南アジアの伝統は今日も継承されている生きた文化であり、本項の記述はその伝承に関する学術的な整理である。
領分・別名
親・配偶者・子までを表示(全体はフル系図ページへ)。実線=主要伝承/点線=異伝・別系統。