メネフネ
メネフネ · Menehune
ハワイの森と谷に住むとされる小人の種族で、卓越した職人。神殿・養魚池・水路を一夜で建て、夜明けまでに終わらなければ放棄した。「メネフネ」がもと平民を指す身分の語であり、それが小人の伝承に変わったとする説が有力。
解説
概要
メネフネは、ハワイの伝承に語られる小柄な人々の種族で、ハワイ諸島の深い森や人里離れた谷に隠れ住むとされる。
腕のよい職人として知られ、神殿(ヘイアウ)や養魚池、道、カヌー、家を造ったという。伝承がメネフネの手になるとする石造物のなかには、今も残るものがある。
神話・物語
メネフネは、一晩のうちに仕事を仕上げるとされる。夜明けまでに終わらなければ、その仕事は放り出されてしまう。人に見られることを嫌い、夜にだけ働く。カウアイ島のアレココ養魚池は、王子と王女のためにメネフネが一晩で築いたと伝えられる。仕事を見ないよう言われていた二人がこれを覗いたため、石の柱に変えられたという。同じカウアイ島のキーキーアオラ(メネフネ溝)は、切り出した石を用いた灌漑の水路で、ハワイのほかの遺構と工法が異なることから、その由来が論じられてきた。
メネフネを、実在した集団の記憶とみる説がある。ポリネシアの人々が渡ってくる前、あるいは早い時期に、別の集団がハワイに住んでいたとするものだが、考古学の証拠は見つかっていない。より有力なのは、「メネフネ」がもとは社会の身分を指す言葉だったとする説である。タヒチ語の「マナフネ」は平民を意味する。ハワイに早く移り住んだ人々が、あとから来た首長の階層に従わされ、その記憶が「小人」の伝承になったと考えるのである。身分を指す言葉が、体の小ささを指す言葉へと変わったことになる。「先に住んでいた小さな人々」という伝承は、マダガスカルのヴァジンバにも見られる。
図像と象徴
主画像は、メネフネが築いたと伝えられるカウアイ島のアレココ養魚池である。
系譜と関係
各地の小人伝承、たとえばアイルランドのレプラホーンや日本のコロポックルと同じく、先住集団の記憶とする解釈が繰り返し出されてきた。
文化的足跡
メネフネの伝承を集成した研究に、キャサリン・ルオマラ『ポリネシアのメネフネ』(1951年)がある。
なおハワイ・サモア・トンガ・タヒチの伝統は今日も継承されている生きた文化であり、本項の記述はその神格の伝承に関する学術的な整理である。