マニトウ
マニトウ · マニトゥーク · マントアク
アルゴンキン諸族における遍在する根本的な生命の力。特定の神の名ではなく、あらゆるものに宿る力であり、同時に個々の霊的存在をも指す。宣教師がキリスト教の神の訳語に採用したことで、非人格的な力が人格神として理解された。
解説
概要
マニトウは、アルゴンキン諸族の神学における根本的な生命の力である。遍在し、あらゆるところに現れるとされる——生物、環境、出来事などである。
「マニトウ」の語は、ヨーロッパ人との初期の接触において広く用いられた。1585年、トマス・ハリオットがアルゴンキン語(ロアノーク/パムリコ)の最初の語彙集を記録したとき、彼は「マントアク」——「神々と女神たち」を意味する——の語を含めた。
概念
マニトウは、特定の神の名ではない。
力そのもの。 あらゆるものに宿る力である。人、動物、石、川、出来事——すべてがマニトウを持ちうる。
個別のマニトウ。 同時に、個々の霊的存在を指しても用いられる。複数形マニトゥークは「霊たち」を意味する。
ギチ・マニトウ。 「偉大なマニトウ」(ギチ・マニトウ)は、その最も大きな現れである。
翻訳の問題
宣教師は「マニトウ」をキリスト教の神の訳語として採用した。
ギチ・マニトウ=神。 アルゴンキン諸語の聖書において、神は「ギチ・マニトウ」と訳される。
概念の変質。 しかし本来のマニトウは、人格を持つ唯一の神ではなく、遍在する非人格的な力である。
ラコタのワカン・タンカ、イロコイのオレンダと同型の観念である。人類学において「マナ」的な観念として論じられてきた。
「グレート・スピリット」。 英語の「グレート・スピリット」という訳語は、19世紀に広まった。この訳が、北米先住民の宗教を一神教に近づけて理解させる効果を持った。
夢と幻視
若者は、成人に際して幻視を求める儀礼(ヴィジョン・クエスト)を行った。
一人で荒野に籠り、断食して幻視を待つ。そこで現れた存在が、その人の守護のマニトウとなる。
個人が自らの霊を得るという実践は、アルゴンキン諸族に広く見られる。
図像と象徴
本サイトが掲げるのは、マニトウを表す記号である。
固有の図像はない。力そのものであり、姿を持たない。
関わる伝承
ギチ・マニトウ、ワカン・タンカ、オレンダと同型の観念。
文化的足跡
北米には「マニトウ」を含む地名が多数ある。カナダのマニトバ州、マニトゥーリン島などである。
なお北米先住民の伝統は今日も継承されている生きた文化であり、本項の記述はその伝承に関する学術的な整理である。物語のうちには氏族や個人の所有物として扱われるものがあり、公開の場で語ることが適切でない場合がある。