リオネス
リオネス · Lyonesse
コーンウォールのランズ・エンドからシリー諸島まで伸びていたとされる王国で、一夜のうちに海に呑まれた。嵐の日に海底から鐘が鳴るという。シリー諸島の浅瀬に青銅器時代の遺構が水没して残っており、その観察が伝承の背後にあるとされる。
解説
概要
リオネス(Lyonesse)は、ケルトの伝承に語られる、イングランド南西端のランズ・エンドから、西の沖合のシリー諸島まで続いていたとされる伝説の王国である。一夜のうちに海に呑まれて失われ、嵐の日には海の底から教会の鐘の音が聞こえるという。後にアーサー王伝説と結びつき、騎士トリスタンの故郷ともされた。
神話・物語
伝承では、リオネスは1099年11月11日に海に沈んだとされる。ただひとり、トレヴィリアン家の祖先が白馬に乗って難を逃れたと伝えられ、同家の紋章には海から現れる白馬が描かれている。
12世紀以降、リオネスはアーサー王伝説に組み込まれた。『トリスタンとイゾルデ』ではトリスタンの故郷とされ、アーサー王とモルドレッドの最後の戦いのあとに沈んだとする版もある。
シリー諸島は、ランズ・エンドの西約45キロに浮かぶ群島である。最終氷期のあと、海面の上昇によってこの海域の陸地は実際に水没していった。浅瀬には青銅器時代の石垣や墓が沈んだまま残り、かつて一つの島だったものが、紀元前後の頃から複数の島に分かれていったと考えられている。干潮時に姿を見せる水中の遺構が、沈んだ王国の物語の背後にあるとみる説がある。ただし、陸地の沈降はゆるやかなものであり、一夜にして沈んだわけではない。
ウェールズのカントレル・グワエロド、ブルターニュの都イス(ダユの項を参照)と、大西洋に面したケルトの三つの地域には、いずれも沈んだ土地の伝承が伝わる。どの地域も、実際に海による浸食を受けてきた土地である。
図像と象徴
固有の図像は伝わらず、本サイトも主画像を掲げない。
系譜と関係
カントレル・グワエロド、イスとともに、沈んだ土地の系列をなす。
文化的足跡
リオネスは、テニスンの『国王牧歌』をはじめ、英文学に繰り返し登場する。
なおケルトの伝承は今日も語り継がれており、本項の記述はその伝承に関する学術的な整理である。