ルイソン
ルイソン · ルイソ · ロビソン
グアラニー神話の七人の怪物の末子で、もとは墓地に住んで死体を食う痩せた犬の姿。ヨーロッパの狼男伝承と融合し「七人兄弟の七番目が狼男になる」とされた。アルゼンチンの大統領が七番目の子の名付け親となる制度は、帝政ロシアの慣習に始まるが、この恐れへの手当てとして広く理解されている。
解説
概要
ルイソン(グアラニー語ルイソ、スペイン語ルイソンあるいはロビソン)は、パラグアイの伝説に語られる七人の怪物の一つで、タウとケラナの七番目にして最後の子である。アルゼンチンでも知られ、男の子が七人続いた家では、最後の子がルイソンになると言われてきた。
なお本サイトの分類では、南米先住民の体系に含めて扱う。
墓地の獣
本来のルイソンは狼男ではなかった。墓地に住んで死体を食う、汚れた長い毛の痩せた犬のような獣とされ、その姿を見た者はまもなく死ぬと恐れられた。死と埋葬にまつわる存在である。
狼男との融合
やがてスペイン語の「ロボ」(狼)と結びつき、「ロビソン」と呼ばれるようになる。イベリア半島には、七人兄弟の七番目が狼男になるという伝承があった。グアラニーの墓地の獣とヨーロッパの狼男の伝承が重なり、名と位置づけはグアラニー、中身はヨーロッパという一つの存在ができあがった。「七番目の男の子がルイソンになる」という話は、ヨーロッパの側から来たものである。
大統領が名付け親になる
アルゼンチンでは、大統領が七番目の男の子の名付け親を務める慣行がある。公式の最初の例は1907年で、ブエノスアイレス州に住むロシアからの移民の夫婦が、七番目の男の子の名付け親になってほしいと当時の大統領フィゲロア・アルコルタに手紙で頼んだことに始まる。帝政ロシアで皇帝が七番目の子の名付け親となった慣習にならったものであった。
この慣行は1974年に法律となり、のちに七番目の女の子にも広げられて、奨学金も与えられるようになった。一方でアルゼンチンでは、この制度は七番目の子が狼男になるという恐れ——そのために子が捨てられることもあったという——への手当てとして広く理解され、「ロビソン(狼男)の法」とも呼ばれている。外来の慣習と在来の恐れが一つの制度のなかで結びついた例である。2026年5月には、この法律の廃止を含む法案が下院を通過した。
図像と象徴
本サイトが掲げるのは、ルイソンを表した図である。
関わる神格・伝承
タウとケラナの末子で、七人の怪物の一。
外来の名と在来の要素が重なった存在としては、ブラジルの魔女クカも同じ成り立ちをしている。
文化的足跡
ルイソンは、パラグアイの民俗のなかで最もよく知られた存在の一つである。
なお南米先住民の伝統は今日も継承されている生きた文化であり、本項の記述はその伝承に関する学術的な整理である。
領分・別名
親・配偶者・子までを表示(全体はフル系図ページへ)。実線=主要伝承/点線=異伝・別系統。