迦陵頻伽
カラヴィンカ · 妙音鳥 · 好声鳥
上半身が人、下半身が鳥の極楽浄土の生物。殻のなかから鳴きだし、その美しい声は仏の声の譬えとされる。礼拝対象ではなく浄土の荘厳として描かれ、雅楽の舞楽「迦陵頻」にも表される。
解説
概要
迦陵頻伽(かりょうびんが、歌羅頻伽、羯羅頻伽とも)は、上半身が人で、下半身が鳥の仏教における想像上の生物。サンスクリットのカラヴィンカの音訳。迦陵頻、迦陵、頻伽とも略される。
『阿弥陀経』では、共命鳥とともに極楽浄土に住むとされる。
性格
殻のなかにいるときから鳴きだすとされる。その声は非常に美しく、仏の声を形容するのに用いられ、「妙音鳥」「好声鳥」「妙声鳥」「美音鳥」とも意訳される。『大般若経』『楞厳呪』『菩薩瓔珞本業経』などの仏典において、仏の声の勝妙な様子を迦陵頻伽の鳴き声に譬える例がある。
一説によれば、迦陵頻伽は現代のベンガル語においてブルブルと呼ばれる雀の一種であるとされる。また日本では美しい芸者や花魁、美声の芸妓を指してこの名で呼ぶこともあった。
図像と象徴
本サイトが掲げるのは、仏画師による迦陵頻伽の図である。
一般に、迦陵頻伽の描かれた図像は浄土を表現していると理解され、同時に如来の教えを称えることを意図する。中国の仏教壁画などには人頭鳥身で表されるが、日本の仏教美術では、有翼の菩薩形の上半身に鳥の下半身の姿で描かれてきた。敦煌の壁画には舞ったり、音楽を奏でている姿も描かれている。
礼拝の対象として尊崇を受けることはほぼなく、浄土を描いた様子あるいは仏具を荘厳するために用いられることが多かった。平等院鳳凰堂の雲中供養菩薩像や中尊寺金色堂の荘厳など、日本の浄土教美術に繰り返し表された。
半人半鳥という点で緊那羅と混同されやすいが、両者は由来を異にする別の存在である。ギリシアのセイレーンとも造形が似るが、声の美しさが人を滅ぼすセイレーンに対し、迦陵頻伽の声は仏の声の譬えである。
関わる神格・伝承
極楽浄土の鳥。共命鳥と並ぶ。
文化的足跡
雅楽の舞楽「迦陵頻」は、鳥の羽を背負った童舞で、この鳥を表す。今日も四天王寺などで演じられる。
なお仏教は今日も信仰されている生きた宗教であり、本項の記述はその尊格の伝承と図像に関する学術的な整理である。