カダンゴット・マッカム
カダンゴット・マッカム · マッカム · マッカッポーティ
北マラバールの女神。カダンゴット・ナンビヤール家の十二人の兄のただ一人の妹マッカムが、兄嫁たちに油売りとの不義を言い立てられ、それを信じた十一人の兄に双子の子もろとも殺されて神となった。テイヤムとして演じられる。
解説
概要
カダンゴット・マッカムは、南インド、ケーララ州北マラバール地方で祀られる地方のヒンドゥーの女神である。十一人の兄に二人の子もろとも殺され、死後に神となったと伝えられる。神が演者に宿る儀礼テイヤムとして、マッカッポーティ、あるいはマッカヴム・マッカルム(「マッカムとその子ら」)の名で演じられている。ヒンドゥーの体系に含めて扱う。
神話・物語
伝承によれば、マッカムは、カンヌール県パイヤンヌール近くのクンニマンガラムにあるカダンゴット・ナンビヤール家のウニチェリヤの一人娘で、コーラッティリ王に仕える十二人の戦士の兄のただ一人の妹であった。十二人の息子のあとに娘を授かるよう両親が熱心に祈って生まれ、兄たちに愛されて育った。母方の叔父の子クッティナンバルと結婚して、双子のチャートゥとチールを産んだ。
兄たちがネリヨットとの戦に出ているあいだ、マッカムは子らとともに兄嫁たちと暮らしていたが、兄嫁たちは彼女を嫌い、罠にかけようとした。家に油を届けに来る油売り(ヴァーニヤン)が来たとき、月のさわりで礼拝に使う油壺に触れられないマッカムは兄嫁たちを呼んだが、兄嫁たちはわざと隠れて応じなかった。やむなく油売りに壺を家のなかへ置かせると、兄嫁たちは姿を現して、マッカムが油売りと不義を働いたと言い立て、戦から戻った夫たちに告げた。兄たちはその言葉を信じてマッカムを殺すことに決めたが、末の兄とその妻はそれを拒んで家を出た。
コッタヤムの祭へ行こうと誘われたマッカムは兄たちのたくらみを悟ったが、家の神ヴィーラ・チャームンディに祈り、無実の証として灯明をともして出立した。途中のチャーラで疲れ果てた母子は、ある家で老婦人から牛乳をもてなされ、マッカムは礼に指輪を器に入れて旅を続けた。カヤローダ・アチャンカラッパッリ近くの井戸で喉の渇きを癒そうとしたとき、追いついた兄たちがマッカムと二人の子を殺した。
図像と象徴
テイヤムでは、演者が二人の子を伴って現れる。主画像は、カンヌールのチャーラで演じられたカダンゴット・マッカムのテイヤムである。
系譜と関係
カダンゴット・ナンビヤール家の娘で、家の神はヴィーラ・チャームンディである。バガヴァティの一柱とされる。
なおテイヤムは今日も北マラバールで営まれている生きた儀礼であり、本項の記述はその伝承に関する学術的な整理である。