ヒュリエウス
ヒュリエウス王 · Hyrieus
ボイオーティアのヒュリアの王で名祖。三神を歓待して牡牛の皮からオーリーオーンを授かった。宝物庫を建てた兄弟に財産を盗まれ、罠で一人を捕らえた話も伝わる。
解説
概要
ヒュリエウス(Ὑριεύς / Hyrieus)は、ボイオーティアの町ヒュリアの名祖とされる王である。子のない老いの身で神々をもてなし、その返礼として子オーリーオーンを授かったという話と、宝物庫の盗難の話で知られる。
神話・物語
アポロドーロス(3.10.1)によれば、ヒュリエウスはポセイドーンとプレイアデスの一人アルキュオネーの子である。ニュンペーのクローニアーとのあいだにニュクテウスとリュコスをもうけ、ニュクテウスの娘がアンティオペーである。
オーリーオーン誕生の話は、ヒュギーヌスやオウィディウス『祭暦』第5巻が伝える。ゼウス、ポセイドーン、ヘルメースが旅人の姿で訪れると、子のない貧しい老人ヒュリエウスは一頭しかない牛を屠ってもてなした。正体を明かした神々が望みを問うと、彼は子を求めた。神々は牛の皮に小便をかけ、それを土に埋めさせた。十か月ののち、そこから子が生まれ、ウーリオーン(尿の子)と名づけられた。のちに音が変わってオーリーオーンになったという。名にまつわる民間語源の話である。
パウサニアース(9.37.5)は、ヒュリエウスが名高い建築家アガメーデースとトロポーニオスの兄弟に宝物庫を造らせた話を伝える。兄弟は外から一つの石を抜き差しできるように仕組み、繰り返し財宝を盗んだ。封印も錠も損なわれていないのに財宝が減っていくことに気づいた王は、罠を仕掛けた。アガメーデースが罠にかかると、トロポーニオスは身元が知られないよう兄弟の首を切って持ち去った。のちにトロポーニオスはレバデイアで地に呑まれ、神託の主として祀られた。
図像と象徴
固有の図像は伝わらず、本サイトも主画像を掲げない。
系譜と関係
父はポセイドーン、母はアルキュオネー。子はニュクテウス、リュコス、そして神々から授かったオーリーオーン。
文化的足跡
宝物庫の話は、ヘーロドトス(2.121)がエジプト王ラムプシニトスの話として伝える盗賊の物語とほぼ同じ筋をもち、各地に広まった昔話の型として比較されてきた。
領分・別名
親・配偶者・子までを表示(全体はフル系図ページへ)。実線=主要伝承/点線=異伝・別系統。