ベイラとビュグヴィル
ベイラ · ビュグヴィル · Beyla
フレイに仕える召使いの夫婦で、『ロキの口論』の一箇所にのみ現れる。ビュグヴィルの名は「大麦」を意味しビールに、ベイラは蜜蜂あるいは牝牛と関係するとされ、いずれもフレイの豊穣の職能に対応させる試みである。
解説
概要
ベイラ(Beyla)とビュグヴィル(Byggvir)は、北欧神話におけるフレイの召使いの夫婦である。
両者への言及は、『古エッダ』の詩『ロキの口論』の散文の序、および第五十五〜五十六節に限られる。この一箇所のみが資料であるため、研究者はその名の語源からの推定に頼ってきた。
ロキの口論
エーギルの館で神々が宴を開いたとき、ロキが乱入して神々を次々に罵る。ベイラとビュグヴィルもその対象となる。
ビュグヴィルが「私がフレイの子であり、すべての神々がここに坐しているなら、お前の骨を砕いてやる」と言うと、ロキは「あの小さな者は何だ。フレイの耳元で囀り、臼の下で喚くばかりだ」と応じる。
さらに「戦いになると隠れて出てこない」と嘲る。
ベイラが「神々が怒っている、黙れ」と言うと、ロキは「黙れ、ベイラ。お前は汚れきった女だ」と罵る。
名の解釈
ビュグヴィル。 ビュグは古ノルド語で「大麦」を意味する。それゆえ、この名は大麦の擬人化と結びつけられる。臼で挽かれることへの言及も、この解釈を支持する。
穀物の神フレイに仕える大麦の精霊、あるいはビールの醸造に関わる存在とみられる。
ベイラ。 名の意味は不明である。「牝牛」「豆」「蜜蜂」と関係するとする説がそれぞれ提出されている。
蜜蜂とする説に従えば、蜂蜜酒に関わる存在となり、夫の大麦(ビール)と対をなす。牝牛とする説に従えば、乳製品を司ることになる。
いずれの説も、フレイの豊穣の職能に対応させる試みである。
図像と象徴
固有の図像は伝わらず、本サイトも主画像を掲げない。
召使いが神話に現れるという点が注目される。北欧の神々には従者が多く配される。フレイにはスキールニル、ベイラ、ビュグヴィルがある。
関わる神格・伝承
フレイの召使い。ロキに罵られた。
文化的足跡
日本語圏でこの名が挙げられることはまずない。『ロキの口論』の登場者として言及される程度である。