エリンレ
エリンレ · インレ · Erinle
ヨルバの偉大な狩人で、イロブの町を導きフラニ人の侵入から守った。ある日大地に沈んで川になったという。狩人・薬草師・農夫の三つの相を持ち、いずれも森から得るものに関わる。キューバではインレとして祀られる。
解説
概要
ヨルバの伝統において、エリンレは偉大な狩人であり、のちにオリシャ(神格)となった者である。イロブの町の最初の王(オロブ)を町の地へ導き、フラニの人々の侵入から町を守ったとされる。ふつうは狩人とされるが、薬草師や農夫とされることもある。ある日、イロブの近くで大地に沈み、川になったという。その名を負うエリンレ川は、オスン川の支流である。エリンレへの信仰は、かつてのオヨ帝国の各地の町に見られ、ヨルバの地の全域で知られている。
なお本サイトの分類では、アフリカの体系に含めて扱う。
川になった者
人が大地に沈んで川になるという結末は、ヨルバの伝承に繰り返し現れる。川の女神オシュンやオヤにも、人として生きた時代の物語がある。人が神になるとき、その場所に川が生じるのであり、土地と神の結びつきがこの形で示されている。
名の由来については、「象」を意味するエリンと「大地」を意味するイレから成るとする説と、エリンと「家」を意味するイレから成るとする説がある。
職能
エリンレは、狩りと癒しと豊かさを司る。狩人と薬草師と農夫という三つの姿は、いずれも森から得るものにかかわっている。川は森を流れ、狩人は森に入る。エリンレは、水と森の境に立つ存在である。
図像と象徴
固有の図像は伝わらず、本サイトも主画像を掲げない。エリンレの祠には、エリンレ川から取ってきた滑らかな丸い石が祀られる。
関わる神格・伝承
イロブの守り神であり、オサニンと薬草の領域を分け合う。
キューバのルクミの人々のあいだでは、インレ、あるいはオデ・インレと呼ばれ、イエマンジャと結びつけられる。美しい若者の姿で表され、男女両方の性をあわせ持つとされることもある。ブラジルのカンドンブレでは、狩りのオリシャの一つの姿として、オショシ・イブアラモとも呼ばれる。
文化的足跡
イロブの町では、今日もエリンレの祭が営まれる。
なおこれらの宗教は今日も信仰されている生きた伝統であり、本項の記述はその神格の伝承と図像に関する学術的な整理である。