エウィン・アヴラハ
エウィン・アヴラハ · エウネ · Emain Ablach
アイルランド神話の楽園の島で、名は「りんごのエウィン」を意味する。海の神マナナン・マク・リルの領域とされ、マン島と同一視されることが多い。ルーが育てられた島とも語られ、アーサー王伝説のアヴァロンに影響を与えた可能性がある。
解説
概要
エウィン・アヴラハ(中期アイルランド語エヴィン・アヴラハ。「りんごのエウィン」)は、アイルランド神話に語られる楽園の島である。海の神マナナン・マク・リルの領域とされることが多く、マン島と、あるいはより根拠は弱いがアラン島と同一視される。ケルト神話の体系に含めて扱う。
伝承
中世アイルランドの詩『バレ・スタン・シー・エヴナ』によれば、ルーはエウィン・アヴラハで育てられた。14世紀の別の詩では、白鳥とイチイの木に満ちた島として描かれている。
名
「アヴラハ」は古アイルランド語で「りんごの」「果実の」を意味する。「エウィン」の語源は定かでないが、アイルランドの地名エウィン・ヴァハと比べられる。この地名は2世紀のプトレマイオスの『地理学』に「イサムニオン」と記され、ケルト学者ハインリヒ・ヴァーグナーはこれを、「速く動く」を意味する印欧祖語の語根 *eis- から「おのずから速く動くもの、流れ」と解した。
図像と象徴
固有の図像は伝わらず、本サイトも主画像を掲げない。
系譜と関係
マナナン・マク・リルの領域とされ、異界の観念に属する。
文化的足跡
ジェフリー・オヴ・モンマスが描いた楽園の島アヴァロン(インスラ・アヴァロニス)は、剣カリブルヌス(エクスカリバー)が鍛えられ、カムランの戦いののちアーサー王が魔女モルゲンとその八人の姉妹に癒やされるために運ばれた島で、エウィン・アヴラハの伝承の影響を受けた可能性がある。中世ウェールズでアヴァロンにあたる「アヴァラハの島」も、エウィン・アヴラハと関係する、あるいはそこから派生したとみられる。
なおケルトの伝承は今日も語り継がれており、本項の記述はその伝承に関する学術的な整理である。