アンヌンの猟犬
アンヌンの猟犬 · キ・アンヌン · Cŵn Annwn
ウェールズの異界[[annwn|アンヌン]]の幽霊猟犬で、白い体に赤い耳を持つ。アラウンあるいはグウィン・アプ・ヌッズが率いるワイルドハントの猟犬である。その吠え声は死の予兆で、近づくほど小さく聞こえるという。
解説
概要
ウェールズ神話と民間伝承において、アンヌンの猟犬(Cŵn Annwn、単数形キ・アンヌン)は、ウェールズ神話の異界アンヌンの幽霊の猟犬であった。
ワイルドハント(荒ぶる狩り)の一形態と結びつけられ、『マビノギ』第一の枝『デヴェドの領主プイス』におけるアンヌンの王アラウン、あるいは後代の中世の伝承において冥界の王にして妖精の王と名づけられるグウィン・アプ・ヌッズによって率いられた。
伝承
『マビノギ』第一の枝において、プイスは狩りの途上で、自分の獲物を奪う奇妙な猟犬の群れを見る。「その毛は輝く白で、耳は赤かった」——白い体に赤い耳という組み合わせは、ケルトの物語において異界のものの徴である。
その主がアラウンであり、プイスは非礼を詫びて一年間互いの姿を交換することになる。
死の予兆。 ウェールズでは、アンヌンの猟犬は渡り鳥の雁と結びつけられた。夜の雁の鳴き声が、猟犬の吠え声と受け取られたためである。
その吠え声を聞くことは死の予兆とされた。ただしその音は逆で、遠くにいるときは近く大きく聞こえ、近づくほど小さくなるという。
死者の魂を狩り、あるいは異界へ導くとされ、アイルランドのバンシーと同じく死の告知者の役を担う。
図像と象徴
固有の図像は伝わらず、本サイトも主画像を掲げない。
白い体に赤い耳という色の組み合わせが、この猟犬を規定する。ケルトの物語において、この配色は異界に属するものを示す定型である。アイルランドの伝承にも同じ色の獣が現れる。
音が近づくほど小さくなるという逆転も特徴的である。距離と音量の関係が反転することで、この世のものでないことが示される。
関わる伝承
アラウンあるいはグウィン・アプ・ヌッズが率いる。ワイルドハントの一形態。
イングランドのブラック・シャック、ゲイトラッシュなど、ブリテン諸島の幽霊犬の伝承と系列をなす。
文化的足跡
コナン・ドイル『バスカヴィル家の犬』(1902年)は、ダートムアの幽霊犬の伝承を下敷きにしており、ケルトの幽霊猟犬の系譜に連なる。