クニラヤ
クニラヤ · コニラヤ · クニラヤ・ウィラコチャ
『ワロチリ写本』の創造神で、ぼろをまとった乞食の姿で歩き罵られた。処女神カウィリャカに恋してルクマの実に精を入れて食べさせ、子を産ませた。恥じて海へ逃げた母子は岩になり、追跡の道で答えた動物の性質が定まった。
解説
概要
クニラヤ(クニラヤ・ウィラコチャとも)は、17世紀初めにペルーのワロチリ地方の先住民の伝承を書き留めた『ワロチリ文書』に登場する創造の神である。ぼろをまとった貧しい男の姿で歩き、人々に罵られながらも、言葉によって山や谷を造り、水路を通した。処女の女神カウィリャカを木の実によって身ごもらせ、逃げた彼女を追うなかで、出会った動物たちの性質を定めたと語られる。
なお本サイトの分類では、インカ/アンデスの体系に含めて扱う。インカの創造神ビラコチャと名を共有するが、『ワロチリ文書』の伝承は独自のものである。
貧しい姿の神
クニラヤは、ぼろをまとった貧しい男の姿で歩き、人々からは「虱だらけの男」と罵られた。けれども実際には、言葉によって山を造り、谷を刻み、水路を通す創造の神であった。立派な姿ではなく貧しい姿で現れ、罵った者を罰するという型は、各地の神話に見られる。
カウィリャカを追う
クニラヤは、処女の女神カウィリャカに恋をした。彼女がいつも機を織っていた木の上から、ルクマの実に自らの精を込めて落とすと、カウィリャカはそれを食べて身ごもった。やがて子が生まれ、一年ほどたって子が這うようになると、カウィリャカは神々を集めて子に父を選ばせた。子は這っていき、乞食の姿のクニラヤのもとへたどり着いた。カウィリャカは、そのみすぼらしい男が父であることを恥じ、子を抱いて海へと走った。そしてパチャカマックの沖で海に入り、母子は二つの岩になった。
動物の性質が決まる
クニラヤはカウィリャカを追い、道々で出会った動物たちに、彼女がどこへ行ったかを尋ねた。助けになる答えをしたコンドルやピューマ、ハヤブサを祝福し、そうでない答えをしたキツネやオウム、スカンクを呪った。それぞれの動物の習性や、人々からの扱われ方は、このときに定まったとされる。創造の神でありながら、逃げる女神に追いつくことはできなかったのである。
図像と象徴
固有の図像は伝わらず、本サイトも主画像を掲げない。
関わる神格・伝承
カウィリャカを追い、ビラコチャと名を共有する。パチャカマックの沖の二つの島は、母子が変じた岩とされる。
文化的足跡
『ワロチリ文書』のこの物語は、アンデスの神話のなかで最もよく知られたものの一つである。
なおアンデスの伝統は今日も継承されている生きた文化であり、本項の記述はその伝承に関する学術的な整理である。