カウィリャカ
カウィリャカ · カビリャカ · Cahuillaca
『ワロチリ写本』の処女の女神。ルクマの実に入れられたクニラヤの精を食べて身ごもり、子が這って乞食の姿の父を選んだのを恥じて海へ走り、パチャカマック沖で子とともに二つの岩になった。実在の島が物語の証拠とされる。
解説
概要
カウィリャカ(カウィリャカ、カビリャカとも)は、『ワロチリ写本』に現れるインカ神話の処女の女神である。
なお本サイトの分類では、インカ/アンデスの体系に含めて扱う。
物語
織物をする処女。 カウィリャカは美しく、多くの神が求めたが、すべて拒んだ。
ルクマの木の下で織物をするのが常であった。
果実。 クニラヤが鳥に姿を変えて木に登り、ルクマの実に自らの精を入れて落とした。
カウィリャカはこれを食べ、身ごもった。
子の誕生。 一年後、子が生まれた。
父を選ばせる。 カウィリャカは神々を集め、「この子の父は名乗り出よ」と告げた。誰も名乗らなかった。
這う子。 子を地に置くと、子は這って乞食の姿のクニラヤのもとへ行った。
恥。 カウィリャカは、その汚い男が父であることを恥じた。子を抱いて海へ走った。
岩になる。 パチャカマックの沖で海に入り、母子は二つの岩になった。
解釈
子が父を選ぶ。 父が誰かを子が示すという場面は、父子関係の確定の方法として語られる。
恥が変身を招く。 女神は罰されたのではなく、自ら恥じて逃げ、石になった。
姿で判断する。 相手の外見によって判断したことが、結果を招く。
パチャカマックの島
パチャカマック(リマ南方の遺跡)の沖には、二つの小島がある。
母子の岩。 これがカウィリャカと子が変じた岩とされる。
地形が物語を証す。 実在の地形が、物語の証拠として示される。アンデスの神話に共通する形式である。
図像と象徴
固有の図像は伝わらず、本サイトも主画像を掲げない。
関わる神格・伝承
クニラヤに欺かれた。パチャカマック沖の島。
文化的足跡
パチャカマックの遺跡は、アンデス最大級の巡礼地であった。今日、考古学公園として公開されている。
なおアンデスの先住民の信仰は今日も継承されている生きた伝統であり、本項の記述はその伝承に関する学術的な整理である。