イケンガ
イケンガ · Ikenga
イグボ人の角のある個人の神で、名は「威の力」を意味する。雄羊の角を持ち右手に刀を握る木像で、成人した男が自らのものを持ち成功を祈った。所有者が死ぬと二つに割られ、継承されない。個人の達成の神格化。
解説
概要
イケンガ(イグボ語で字義どおり「威の力」)は、ナイジェリア南東部のイグボ人のあいだに見られる角のある神である。
イグボの人々の最も強力な象徴の一つであり、最も一般的な文化的遺物の一つである。
イケンガは主として男によって、ときに社会において高い評判と誠実さを持つ女によって、保持され、保たれ、あるいは所有される。
それは、その人のチ(個人の神)、ンディチエ(祖先)、アカ・イケンガ(右手)、イケ(力)、そして祈りと犠牲による霊的な活性化から成る。
なお本サイトの分類では、アフリカの体系に含めて扱う。
右手の神
イケンガは「右手」の神である。右手は、働き、戦い、成し遂げる手である。
成人した男は自らのイケンガを持ち、これを彫らせ、祭司に活性化させる。以後、事あるごとにこれに祈り、コーラの実と酒を供える。
成功はイケンガの力によるとされ、失敗すればイケンガを叩き、あるいは捨てることもあった。
個人の努力と成功を神格化したものである。イグボ社会が個人の達成を重んじることの表れとされる。
死とともに
所有者が死ぬと、そのイケンガは二つに割られる。一方は死者とともに葬られ、一方は破棄される。
イケンガは個人に固有であり、継承されない。人の一代とともに始まり、終わる。
図像
雄羊の角を持つ人の像である。角は攻撃性と決断を表す。
座した姿で、右手に刀を、左手に敵の首あるいは象牙を持つ。冠を戴くものもある。
角の形と装飾によって、所有者の地位が示された。
図像と象徴
本サイトが掲げるのは、雄羊の角を持つ男の木像である(トロペン博物館蔵)。個人の祭壇として用いられた。
関わる神格・伝承
チ(個人の霊)と結びつく。チュクウの体系に属する。
文化的足跡
イケンガの木彫は、アフリカ美術のなかで最も収集された形式の一つである。多数が欧米の博物館に収蔵されている。
なおこれらの宗教は今日も信仰されている生きた伝統であり、本項の記述はその神格の伝承と図像に関する学術的な整理である。