カパネウス
カパネウス · Kapaneus · Capaneus
テーバイ攻めの七将の一人。ゼウスの雷も自分を止められないと豪語して城壁を登り、その雷に撃たれて死んだ。
解説
概要
カパネウス(Καπανεύς / Kapaneus)は、テーバイ攻めの七将の一人である。神を侮る言葉を口にした直後に神罰を受けるという、ギリシアの神話としてもきわめて単純な筋によって記憶されている。
七将のなかで彼だけが、敗因を運命や裏切りではなく自分の言葉に負っている。傲慢(ヒュブリス)とその報いを示す典型例として、古代から教材のように引かれてきた。
神話・物語
アドラーストスの召集に応じて遠征に加わり、オーギュギアイ門を攻めた。アイスキュロス『テーバイ攻めの七将』とエウリピデス『フェニキアの女たち』ではエーレクトライ門とされる。
アイスキュロスは彼にこう言わせる。神が望もうと望むまいと都市を落とす、ゼウスの雷が落ちようと真昼の暑さほどにも感じない、と。彼の楯には松明を掲げた裸の男と「都市を焼く」の銘があった。攻城梯子をかけて城壁を越えようとしたその瞬間、雷霆が彼を撃つ。
火葬のとき、妻エウアドネーは燃えさかる薪の上に身を投げて夫とともに焼かれた。エウリピデス『嘆願する女たち』はこの場面を舞台にかけている。
アポロドーロスは、ステーシコロスの『エリピューレー』において彼がアスクレーピオスに蘇生させられた者の一人に数えられていた、と伝える。雷に撃たれた者を医神が生き返らせたという話は、アスクレーピオス自身が同じ雷で撃たれる筋書きと表裏をなしている。
図像と象徴
標識は攻城梯子である。城壁を登る途中で雷に打たれ、のけぞって落ちる姿が定型となった。動きの頂点で静止させられるという構図が、この主題を絵にしやすくしている。
本ページの主画像は前340年頃のカンパニア赤絵式アンフォラ(カイヴァーノの絵師、ゲティ美術館 92.AE.86)で、城壁を登る彼を胸壁の上から見下ろす人物とともに描く。南イタリアの壺絵はこの場面を好み、雷を稲妻の束として画面に描き込む例もある。
ダンテ『神曲』地獄篇では、神を侮った者たちの環に置かれ、降り注ぐ火のなかでなお「生きていたときのままの私でいる」と言い放つ姿で登場する。
系譜と関係
父ヒッポノオス、母はアドラーストスの父タラオスの娘メティディケー。アルゴス王アレクトールの子でイーピスと兄弟とする説もある。妻はイーピスの娘エウアドネー。
子ステネロスはエピゴノイの一人としてテーバイを落とし、さらにトロイア戦争ではディオメーデースの副将として戦った。七将の子の世代が、父たちの遠征とトロイア遠征の両方をつなぐ役を担っている。
文化的足跡
「ゼウスの雷にも屈しない」と言って雷に撃たれるという筋は、傲慢に対する罰の最も短い形として引用されてきた。ダンテが彼を選んだことで、この人物は中世以降のヨーロッパでも神への反逆者の一典型として知られている。