アニャンガ
アニャン · アイニャン · Anhangá
トゥピ系諸民族の霊。嵐の音として現れ、死者の魂を苦しめ、狩人——とりわけ仔を持つ雌を狙う者——を狂気と熱病で罰する。燃える眼の白い鹿の姿をとる。16世紀のフランス人は悪魔と同一視した。
解説
概要
アニャンガ(トゥピ語 Anhang、サテレ=マウェ語アニャン、フランス語アニャン)は、ブラジルの複数の先住民集団の宇宙観と、インディアニズモの文学に現れる霊の一種である。
なおトゥピ系諸民族の伝承は、本サイトの分類ではアンデス(インカ)の体系に含めず「その他」に置く。
伝承
この霊は死者の魂を苦しめると信じられ、自然のなかでは嵐の音として現れる。生者もまた絶えず苦しめ、殴られるような苦痛を与える。鳥や獣、その他の奇妙な存在の姿で現れる——現代に採集された伝承では、アルマジロやピラルクの魚などの姿もとる。
とりわけ狩人を狂気と熱病で苦しめる。仔を持つ雌を狙った場合は特にそうである。野(あるいは現代の資料では森)の獲物の守護者であり、それゆえ通常、燃える眼を持つ白い鹿の姿で現れる。
人々は葬送の儀礼の際にアニャンガの存在を恐れた。死者の魂が、この霊に捕らえられて安らげなくなると信じられたためである。
図像と象徴
本サイトが掲げるのは、ジャン・ド・レリー『ブラジル旅行記』(1580年版)235頁の挿絵である。アニャンガ(アイニャン)の説明に対する図で、16世紀のフランス人の想像による。
この存在を規定するのは、獲物の守護者と死者の苦痛の二重性である。仔を持つ雌を狙う狩人を罰するという点では、クルピーやチュリャチャキと同じく、狩猟の節度を守らせる存在である。しかし死者の魂を苦しめるという相は、より恐ろしい。
16世紀のフランス人(レリー、テヴェ)はアニャンガを悪魔と同一視し、トゥピ族が悪魔に苦しめられていると記した。植民地期の記録は、この霊をキリスト教の枠組みで読み替えている。
関わる伝承
トゥピ族の霊としては、ほかにクルピラ(森の守護者)、ボイタター(火の蛇)、サシ(片足の悪戯者)がある。
文化的足跡
19世紀ブラジルのインディアニズモ文学——ゴンサルヴェス・ジアスの詩やジョゼ・デ・アレンカールの小説——において、アニャンガは先住民の精神世界の象徴として繰り返し現れた。
なおトゥピ系諸民族の伝統は今日も継承されている生きた信仰である。