バルバリーカ
バルバリーク · カートゥー・シャーム · バリヤーデーヴ
ガトートカチャの子でビーマの孫。ドゥルガーから必中の三矢を授かった。マハーバーラタ本文には現れないが、カートゥー・シャームとして今日広く信仰される。
解説
概要
バルバリーカ(Barbarīka)は、ヒンドゥー教の民間伝承に語られる英雄である。ガトートカチャと王女マウルヴィー(カームクタンカター)の子で、ビーマの孫にあたる。
『マハーバーラタ』本文には現れない。ラージャスターン州カートゥーではカートゥー・シャームとして、グジャラート州ではバリヤーデーヴとして祀られる。ネパールでは、キラート人の王ヤランバルがこの人物であると信じられ、カトマンズ盆地の住民はアーカーシュ・バイラヴとして崇めている。
神話・物語
祖父はビーマ、父はガトートカチャである。ガトートカチャはビーマと羅刹女ヒディンバーの子であり、バルバリーカは母カームクタンカターから武術を学んだ。マウルヴィーとも呼ばれるこの女性は、プラーグジョーティシュプル(アッサム)の王である魔族ムーラの娘である。
女神ドゥルガーは、この英雄に三本の必中の矢を与えた。この三矢によって、彼は一瞬で戦を終わらせる力を得たとされる。
伝承はこう続ける。クルクシェートラの戦いに向かう途上、クリシュナがこの英雄に、どちらの側につもりかと問うた。バルバリーカは、負けている側につくと答える。クリシュナはその答えの含意を悟った——彼が加われば加わった側が勝ち、するともう一方が負ける。負けた側につくと言う以上、彼は両軍を交互に助け、最後には自分ひとりが残ることになる。
そこでクリシュナは布施を求め、彼の首を所望した。バルバリーカはこれを与え、ただ戦の全体を見届けたいと願う。その願いは容れられ、首は丘の上に置かれて十八日間の戦を見守った。戦の後、誰が真に勝利をもたらしたのかと問われた首は、戦場に見えたのはクリシュナのチャクラと大地の女神だけであったと答えたという。
この筋は『マハーバーラタ』の本文にはなく、地方の伝承と後代の文献に伝わるものである。
図像と象徴
本サイトが掲げるのは、ラージャスターン州カートゥーのシャーム・クンドに祀られる神像の写真である。今日この英雄は「カートゥー・シャームジー」の名で広く信仰され、寺院には年間を通じて多くの参拝者が訪れる。
図像の中心は首である。断たれた首だけが祀られるという形は、この英雄の物語をそのまま造形にしたものである。丘の上に置かれて戦を見届けた首が、そのまま礼拝の対象になっている。
三本の矢も属性として描かれる。必中であるがゆえに一本で足りるという設定は、力の大きさを矢の数の少なさで表すという逆説的な語り方である。
関わる神格・伝承
父はガトートカチャ、祖父はビーマ。クリシュナに首を捧げたことから、ヴィシュヌ派の信仰圏に組み込まれた。
同じく『マハーバーラタ』の周縁で犠牲となる人物としては、イラーヴァーンが知られる。タミル・ナードゥでアラヴァーンとして祀られ、こちらも戦の勝利のために自らを捧げる。地方の祭祀が叙事詩の周縁に人物を配し、その犠牲を主題とするという構図が共通している。
文化的足跡
カートゥー・シャームへの信仰は、近年とりわけ北インドで拡大している。ラージャスターンの寺院は大規模な巡礼地となり、ネパールではアーカーシュ・バイラヴとして王権の伝承に結びついた。
叙事詩に書かれなかった人物が、地方の祭祀を通じて広範な信仰を得るという経路は、ヒンドゥー教においてめずらしくない。文献の中心と信仰の中心が一致しないという事実を、この英雄はよく示している。