ワカ(ケチュア語 wak'a)は、アンデスの人々が聖性を認めた対象の総称である。山や岩、泉、洞窟といった自然物から、祖先のミイラ(マルキ)、神像、境界標に至るまで、種類は幅広い。ワカは供物を受け取り、託宣を通じて応答する生きた存在とみなされ、共同体アイリュはそれぞれ固有のワカを祀って自らの起源を語った。インカ神話の首都クスコを中心に放射状に延びるセケの線上にはおびただしい数のワカが配され、祭祀暦と地理秩序が一体をなしていた。スペイン人聖職者はこれを偶像崇拝と断じ、17世紀の「偶像根絶」運動でワカの破壊と記録が組織的に進められた。皮肉にもその報告書が、今日ワカを知るための主要な史料となっている。
GLOSSARIUM · HUACA