ウエヌク
ウエヌク · ウエヌク・コーパコ · Uenuku
虹のマオリの神格にして著名な祖先。虹の出現は前兆とされ、進む方向に虹が立てば凶とされた。戦の前に呼ばれる戦神で、その依代とされる木彫「テ・ウエヌク」はマオリ最古級の彫刻である。
解説
概要
ウエヌク(ウエヌク・コーパコ。またその名にちなんで名づけられた者にも与えられる)は、虹のアトゥア(神格)であり、マオリの伝統における著名な祖先である。
マオリは虹の出現が前兆を表すと信じ、彼への年ごとの供物の一つは、最初に植えたクマラ(サツマイモ)の若葉であった。
戦の前に呼ばれる部族の戦神であり、とりわけ国の北半分において重視された。タウア(戦の一隊)が虹の弧の下に現れれば、その戦いに敗れると言われた。
虹の前兆
虹の見え方によって、吉凶が判じられた。
位置。 進む方向に虹が立てば凶、背後にあれば吉とされた。虹の下を通ることは避けられた。
二重の虹。 二重の虹は、とりわけ強い前兆とされた。
戦に出る前、トフンガ(祭司)が空を読み、虹の位置によって進退を決めた。気象の観察が軍事的な判断になる。
祖先としてのウエヌク
ウエヌクは神格であると同時に、実在したとされる祖先の名でもある。
タイヌイの伝承において、ウエヌクはハワイキ(故郷)における首長であり、その争いがマオリのニュージーランドへの移住の一因となったと語られる。
神と祖先の連続。 マオリの伝統において、神格と祖先は明確に分けられない。傑出した祖先は死後アトゥアとなり、その名が子孫に受け継がれる。
テ・ウエヌク
ワイカト地方のテ・アワムトゥ博物館に、「テ・ウエヌク」と呼ばれる木彫が収蔵されている。
タイヌイのカヌーとともにハワイキから運ばれたと伝えられる、マオリ最古級の彫刻である。人の姿を離れた抽象的な形をしており、後代のマオリ彫刻とは様式が異なる。
これがウエヌクの依代(トコ)であったとされる。
図像と象徴
固有の図像は伝わらず、本サイトも主画像を掲げない。テ・ウエヌクは実際の祭祀に用いられた聖なる物であり、本サイトでは画像を掲げない(§2.1)。
関わる神格・伝承
虹の神。タイヌイの祖先。
文化的足跡
「ウエヌク」の名は、今日もマオリの人名、団体名、地名に広く用いられている。
なおマオリとハワイの伝統は今日も継承されている生きた文化であり、本項の記述はその神格の伝承に関する学術的な整理である。