ティクバラン
ティクバラン · ティグバラン · Tikbalang
フィリピンの山と森に潜む、馬の頭と蹄をもち、しゃがむと膝が頭より上にくるほど手足の長い存在。旅人を同じ場所に何度も戻らせて惑わせ、上着を裏返しに着れば術が解けるという。晴れた日の雨は「ティクバランの結婚」と言われる。
解説
概要
ティクバランは、東南アジアのフィリピンの民間伝承で、山や森に潜むとされる存在である。背が高く骨ばった体に馬の頭と蹄を持ち、手足が異様に長く、しゃがむと膝が頭より上に来るほどだという。山道を行く旅人を惑わせて、同じ場所に何度も戻らせる。上着を裏返しに着れば、その術が解けるとされる。晴れているのに雨が降ると「ティクバランが結婚している」と言われる。
神話・物語
ティクバランに惑わされた旅人は、どれほど歩いても森から抜け出せなくなる。森に入る前には、「タビ・タビ・ポ」(通らせてください)と唱えて、森の存在に許しを乞う習わしもある。
天気雨をティクバランの婚礼とみる言い回しは、天気雨を「狐の嫁入り」と呼ぶ日本の言い方とよく似ている。
ティクバランのたてがみには、三本の太い毛があるという。その背に飛び乗ってこれを抜き取れば、ティクバランは抜いた者に仕えるようになるという。
馬の頭を持つことから、スペイン人が馬をもたらした後に形づくられた存在だとする説がある。一方、もとからあった森の霊に、後から馬の頭が与えられたとする説もあり、定まっていない。
図像と象徴
馬の頭と蹄をもち、手足の異様に長い痩せた姿で描かれる。主画像は現代の図である。
系譜と関係
カプレやアスワンとともに、フィリピンの民間伝承の存在をなす。
文化的足跡
ティクバランは、フィリピンの漫画やファンタジーに最もよく登場する存在の一つである。
なお東南アジアの伝統は今日も継承されている生きた文化であり、本項の記述はその伝承に関する学術的な整理である。