テオニム THEONYM · 世界神話アーカイブ 神格を検索
テーレウス
PLATE — ΤΗΡΕΎΣ
HELLAS · ギリシア神話
ΤΗΡΕΎΣ

テーレウス

テレウス · テーレウス · Tereus

ルーベンス《テーレウスの饗宴》(1636〜38年、プラド美術館蔵) PUBLIC DOMAIN

トラーキアの王でプロクネーの夫。義妹ピロメーラーを犯し舌を切って閉じ込めたが、織物によって発覚し、姉妹に子イテュスを殺して食べさせられた。追ううちに戴勝に変えられた。ギリシア人にとって「野蛮」の典型。

01

解説

概要

テーレウス(Τηρεύς / Tereus)は、トラーキアの王で、アテーナイ王パンディーオーンの娘プロクネーの夫である。義妹ピロメーラーを犯して舌を切り、その報いとして妻と義妹にわが子イテュスの肉を食べさせられた。最後は冠羽をもつヤツガシラに変えられたとされる。アレースの子とする伝えがある。

神話・物語

アテーナイがテーバイの王ラブダコスと国境を争ったとき、テーレウスは援軍を率いて勝利に導き、その礼としてプロクネーを妻に迎えた(アポロドーロス3.14.8)。

五年ののち、妹に会いたいという妻の願いを受けてアテーナイへ赴いたテーレウスは、ピロメーラーの美しさに心を奪われた。帰路、人里離れた小屋で彼女を犯し、訴えると言う彼女の舌を切り取り、そのまま閉じ込めた。妻には、妹は旅の途中で死んだと偽った。

ピロメーラーの織った布によって真相が伝わると、姉妹は幼いイテュスを殺して料理し、テーレウスに供した。食べ終えた王の前に子の首が投げ出される。王は剣(あるいは斧)をとって姉妹を追ったが、神々は三者をともに鳥に変えた。テーレウスはヤツガシラ(一説に鷹)になったという。

図像と象徴

本サイトの主画像は、ルーベンスの《テーレウスの饗宴》(1636〜38年、プラド美術館蔵)で、食卓で子の首を突きつけられて立ち上がる王を描く。スペイン王フェリペ4世の狩猟館トーレ・デ・ラ・パラーダのために、オウィディウスを主題とする連作の一枚として描かれた。

冠羽を広げたヤツガシラが、兜の飾りを戴いた王の姿に見立てられたことは、アリストパネースの喜劇『鳥』で、ヤツガシラとなったテーレウスが鳥の王国の案内役を務めることにも表れている。

枝にとまった、白黒の縞模様の翼をもつ橙褐色の鳥。頭の冠羽を扇のように大きく立てている
冠羽を広げたヤツガシラ(フランス、2008年撮影)Luc Viatour / https://Lucnix.be / CC BY-SA 3.0 — Wikimedia Commons

系譜と関係

父はアレース(アポロドーロス)。妻はプロクネー、子はイテュス。義父はパンディーオーン(1世)。

トゥーキュディデースは、テーレウスをトラーキア人ではなく、ポーキスのダウリスに住んだ人物とする伝えを記し、両者を混同すべきでないと述べている(2.29)。姉妹の物語の舞台をダウリスとする伝えも古い。

文化的足跡

ソポクレースの悲劇『テーレウス』は断片だけが伝わるが、アリストパネース『鳥』の言及から当時よく知られた作品であったことがわかる。筋を最も詳しく伝えるのはオウィディウス『変身物語』第6巻であり、中世以降の翻案はほぼこれにもとづく。

02

領分・別名

親・配偶者・子までを表示(全体はフル系図ページへ)。実線=主要伝承/点線=異伝・別系統。

フル系図ページを開く →
04

資料

Wikidata
Q1138506 — 骨格データの出典