テペヨロトル
テペヨロトル · テペヨロトリ · 山々の心臓
「山々の心臓」を意味するアステカの洞窟・地震・木霊・ジャガーの神。太陽へ跳びかかるジャガーとして描かれ、日食あるいは夜が昼を呑むことの表現と解される。テスカトリポカの一相とされ、マヤのカブラカンに対応する。
解説
概要
テペヨロトル(Tepēyōllōtl、テペヨロトリとも)は、アステカ神話で洞窟、地震、木霊、そしてジャガーにかかわる神である。名はナワトル語のテペトル(「山」)とヨロトル(「心臓」)からなり、「山々の心臓」、すなわち山の内部の洞窟を指すと解される。
暦のうえでは、日の記号の第3「家」(カリ)と、占いの暦トナルポワリの第3の13日間(「一の鹿」に始まるトレセーナ)を受け持つ。夜の時を順に守る九柱の「夜の主」(ヨワルテクートリ)の第8でもある。
神話・物語
洞窟は大地の内部への入口であり、水の源であり、祖先の出所である。メソアメリカにおいて、洞窟は最も聖なる場所の一つであった。
洞窟で声がこだまするのは、テペヨロトルの働きとされた。地震もまた、山の心臓が動いているためと考えられた。テペヨロトルはジャガーの姿で表される。ジャガーは洞窟に住み、夜に狩りをする獣である。ジャガーはテスカトリポカの分身(ナワル)でもあり、テペヨロトルはテスカトリポカの一つの姿とされることがある。太陽に跳びかかるジャガーの図像は、日食、あるいは夜が昼を呑み込むことを表すものと解されている。
図像と象徴
本サイトが掲げるのは、ボルジア絵文書のテペヨロトルの図である(Commons の説明によれば、絵文書の図をもとに Photoshop で作った現代の描き起こし)。
ジャガーの姿、あるいはジャガーの皮をまとった人の姿で描かれる。ジャガーの斑点を星空に見立てる解釈もある。
系譜と関係
テスカトリポカの一相とされる。夜の太陽をジャガーの姿で表した古典期マヤのジャガー神との関連を指摘する研究もある。
文化的足跡
メソアメリカの洞窟信仰は近年の考古学でも重視されており、1971年にはテオティワカンの太陽のピラミッドの下で、儀礼に用いられた人工の洞窟が見つかっている。
なおメソアメリカの先住民の伝統は今日も継承されている生きた文化であり、本項の記述はその神格の伝承と図像に関する学術的な整理である。