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スルデ
PLATE — SULDE
MONGOLIAN · モンゴル・シベリアの神話
SULDE

スルデ

スルデ · スルド · トゥグ

モンゴルのトゥグ(スルデ)/CC BY-SA 3.0 CC BY-SA 3.0

馬の尾の毛を円形に配した遊牧民の軍旗にして、そこに宿る霊。白は平時、黒は戦時の旗である。チンギス・ハンの魂が宿るとされた黒い旗は1937年ごろ失われ、1990年代に復活した九脚の白い旗が国家の象徴となっている。

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解説

概要

スルデ(モンゴル語スルド)は、馬の尾の毛を円く束ねて竿の先に付けた軍旗であり、同時に、その旗に宿る霊を指す語でもある。旗そのものはモンゴル語でトゥグ(トルコ語ではトゥー)とも呼ばれ、スルドはとくにそこに宿る霊や威光をいう。モンゴル帝国で掲げられたほか、チュルク系の部族連合やその後継の国家でも用いられ、今日ではモンゴル国の国家的な象徴となっている。

なお本サイトの分類では、モンゴル・シベリアの体系に含めて扱う。

霊の宿る旗

「スルド」は、モンゴル語で「霊」や「威光」を意味する。旗は単なる目印ではなく、軍を守る霊が宿る依り代であった。チンギス・ハンには白と黒のスルデがあったと伝えられる。白い馬の尾の旗は平時の、黒い馬の尾の旗は戦時のものであり、戦と平和とで掲げる旗を替えることで、国のありようの切り替えが示された。のちの国家の旗では、白は九本の旗竿からなり(「九脚の白い旗」イェスン・ホルト・ツァガーン・トゥグ。大きな一本を八本が囲む)、黒は四本の旗竿からなる(「四脚の黒い旗」ドルヴン・ホルト・ハル・スルド)。

失われた黒いスルデ

白い旗は早い時代に失われ、チンギス・ハンの魂は残った黒いスルデに宿るとされた。17世紀には、チンギス・ハンの末裔でもある高僧ザナバザルが、この旗を掲げ守るための寺院を建てたとされ、オヴォルハンガイのシャンフ寺がその寺と伝えられる。しかし1937年ごろ、社会主義政権下の粛清と寺院の破壊のなかで旗は失われ、その所在は今日も分かっていない。民族の象徴そのものが、政治の暴力とともに姿を消したのである。

1990年代の民主化ののち、九脚の白い旗が伝統的な国家の象徴として復活した。旗はウランバートルの政府宮殿に置かれ、大統領の就任式や国家の祝祭に掲げられ、毎年七月のナーダム祭では政府宮殿から競技場へと運ばれる。黒い旗も新たに作られて国防省に置かれ、軍旗の竿頭にも黒い馬の尾が用いられている。失われた物の複製が、国家の儀礼の中心に据えられている。

馬の尾の力

遊牧民にとって馬は最も大切な家畜であり、その尾には生命力が宿ると考えられた。馬の尾の束を軍旗とする慣行は内陸アジアの遊牧民に共通し、オスマン帝国でも受け継がれて、位階によって束の数が定められた。

図像と象徴

本サイトが掲げるのは、モンゴルのトゥグである。

関わる伝承

テングリの加護と結びつく。

文化的足跡

九脚の白い旗は今日のモンゴル国の国家的な象徴であり、旗竿の頂には国章ソヨンボにも見える三つの炎の意匠が付けられている。

なおモンゴル・シベリアの伝統は今日も継承されている生きた文化であり、本項の記述はその伝承に関する学術的な整理である。

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領分・別名

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資料

Wikidata
Q7666706 — 骨格データの出典