レーヌカー
レーヌカー · イェッラマー · Renuka
聖仙ジャマダグニの妻で、パラシュラーマの母。ガンダルヴァに一瞬心を動かして貞節の力を失い、夫の命で末子パラシュラーマに首を刎ねられたが、蘇った。南インドでは首が被差別の女性の胴と入れ違ったとされ、イェッラマーとして広く信仰される。
解説
概要
レーヌカー(イェッラマーとも)は、南インドと西インドの広い地域で祀られるヒンドゥーの女神である。聖仙ジャマダグニの妻で、ヴィシュヌの六番目の化身パラシュラーマの母とされる。一瞬の心の乱れのために夫の命で息子に首を刎ねられ、蘇ったと語られる。南インドの伝承では、蘇らせる際に首が被差別の女性の胴と入れ違ったとされ、イェッラマーとして被差別の人々に広く信仰されてきた。ヒンドゥー教の体系に含めて扱う。
首を刎ねられた母
叙事詩『マハーバーラタ』などに伝わる物語によれば、レーヌカーはその貞節の力によって、焼いていない土の壺で水を運ぶことができた。ある日、水辺で天界の楽人ガンダルヴァが妃と戯れているのを見て、その美しさに一瞬心を動かされた。すると貞節の力は失われ、土の壺は水に溶けてしまった。これを知った夫ジャマダグニは激怒し、息子たちに母を殺すよう命じた。四人の兄はこれを拒んで、父の怒りで石にされた。末の子パラシュラーマだけが、斧で母の首を刎ねた。父が満足して望みを問うと、パラシュラーマは、母を蘇らせ、兄たちを元に戻し、この行いの記憶を皆から消してほしいと願い、そのすべてが叶えられたという。
入れ違った首
南インドの伝承には続きがある。レーヌカーが首を刎ねられたとき、被差別の女性もまた首を刎ねられていた。蘇らせる際に首と胴が入れ違い、レーヌカーの首に被差別の女性の胴がついた姿が、イェッラマーとして祀られるようになったという。
デーヴァダーシーの慣行
イェッラマーへの信仰と結びついて、少女を女神に捧げるデーヴァダーシーの慣行が行われてきた。この慣行はしばしば性的な搾取につながるものであり、インドの複数の州で法律によって禁じられている(カルナータカ州では1982年)。
図像と象徴
本サイトが掲げるのは、レーヌカー・マーターの像である。イェッラマーの寺院では、女神が首だけの姿で祀られることがある。
系譜と関係
夫はジャマダグニ、子はパラシュラーマである。
文化的足跡
カルナータカ州サウンダッティのイェッラマー寺院には、毎年数十万人の巡礼者が訪れる。
なおヒンドゥー教は今日も信仰されている生きた宗教であり、本項の記述はその神格の伝承と図像に関する学術的な整理である。