ラスコヴニク
ラスコヴニク · ラズコヴニチェ · ラズルィフ・トラヴァ
閉じられ鍵のかかったあらゆるものを開くとされるスラヴの魔法の草。しかし他の草と見分けがつかず、錠に触れさせて試すほかない。亀の子を柵で囲めば母亀がこれを持って来て柵を開けるという、動物に教わる方法が伝わる。
解説
概要
ラスコヴニク(Raskovnik)は、スラヴの伝承に語られる魔法の草で、閉ざされたもの、鍵のかかったものをすべて開くとされる。錠前も、足枷も、地中に埋められた宝のありかも、この草に触れれば開く。ところがラスコヴニクは他の草と見分けがつかず、見つけ出すことがきわめて難しい。
神話・物語
名は「開く」を意味する語に由来する。ラスコヴニクは見た目にはありふれた草と変わらず、本物かどうかは、実際に錠に触れさせて開くかどうかで確かめるしかない。つまり、野の草を一本ずつ試していくほかないのである。見つけることの不可能さという点で、夏至の夜のシダの花とよく似た伝承である。
人にはできないこの探索を、動物に頼るという方法が伝わっている。亀の子を捕らえて柵で囲っておくと、母亀がラスコヴニクをくわえてきて柵を開け、子を連れ戻す。人はそこで残された草を手に入れればよい。針鼠や、巣をふさがれた鳥についても同じ話が語られる。人には見分けられないものを動物は知っているという発想が、各地の霊草の伝承に共通している。
図像と象徴
ラスコヴニクを、四つ葉のシダの仲間であるデンジソウに当てる説や、カタバミに当てる説があるが、確かなことは言えない。本サイトの主画像は、その候補の一つとされるデンジソウの写真である。
系譜と関係
シダの花と同じく、見つけることのできない霊草の系列に属する。
文化的足跡
ロシアの昔話には、「ラズルィフ・トラヴァ(引き裂く草)」の名でしばしば登場する。
なおスラヴの民間伝承は今日も語り継がれており、本項の記述はその伝承に関する学術的な整理である。