コース
コース · カウス · コゼ
エドム人の国家神。名の意味は確定せず、アラビア語の「弓」と関連づける説がある。旧約聖書はエドム人をヤコブの兄エサウの子孫とし、ヤハウェが南方のエドムから来るという記述もあることから、両神の同一起源説が議論されてきた。
解説
概要
コース(のちにコース、またカウス、コゼとも)は、エドム人の国家神であった。イドマヤにおけるヤハウェの構造的な対応者である。
その名は旧約聖書に二度しか現れず(箴言の破損した本文における可能性のある言及を除く)、エズラ記とネヘミヤ記において人名の要素として現れる。
なお本サイトの分類では、フェニキア/カナンの体系に含めて扱う。
エドム
エドムは、死海の南、現在のヨルダン南部からイスラエル南部にかけての王国である。
エサウの裔。 旧約聖書は、エドム人をヤコブの兄エサウの子孫とする。イスラエルと兄弟の民である。
銅。 ティムナとフェイナンの銅鉱山が、その富の基礎であった。
名
「コース」の名の意味は確定していない。
弓。 アラビア語の「カウス」(弓)と関連づける説がある。
天候の神。 弓が虹を指すとすれば、天候の神となる。
人名要素。 「コースガベル」「コースマラク」など、コースを含む人名がエドムの碑文と印章に多数見られる。
ナバテア期まで。 ヘレニズム期のナバテア王国においても、コースの名は用いられ続けた。
ヤハウェとの関係
コースとヤハウェの関係は、長く議論されてきた。
南方起源説。 旧約聖書には、ヤハウェがセイル(エドム)、テマン、パランから来るという記述がある。
シャス・ヤハウェ。 エジプトの新王国の文書に「シャスの地のヤハウェ」という地名が現れる。エドム周辺を指すとみられる。
同一起源説。 ヤハウェとコースが同じ南方の神に遡るとする説が提出されてきた。
確定していない。 ただし決定的な証拠はなく、議論は続いている。
兄弟の民、兄弟の神。 旧約聖書がエドム人を兄弟とすることと、この議論は響き合う。
ヘロデ王
ヘロデ大王はイドマヤ(エドム)人の家系であった。
改宗。 前2世紀、ハスモン朝がイドマヤを征服し、住民をユダヤ教に改宗させた。
神の消滅。 これによってコースの祭祀は絶えた。
図像と象徴
固有の図像は伝わらず、本サイトも主画像を掲げない。
関わる神格・伝承
エドムの国家神。ケモシュ、ミルコムと並ぶ。ヤハウェとの関係が議論される。
文化的足跡
コースを含む人名の印章は、エドムの考古学において主要な資料である。