ポイアース
ポイアス · Poeas · Poias
ピロクテーテースの父。誰も従わなかったヘーラクレースの火葬壇に火をつけ、その弓を譲られた。この弓がトロイア戦争の勝利の条件となる。タロースを射殺したという説もある。
解説
概要
ポイアース(Ποίας)は、ギリシア神話の人物である。タウマコスの子で、デーモーナッサを妻とし、息子にピロクテーテースがいる。
神話・物語
アポロドーロスはポイアースをアルゴナウタイの一人に数え、ヒュギーヌスはポイアースではなくピロクテーテースをアルゴー船の乗員とする。
アルゴー船がクレータ島で青銅の巨人タロースに襲われたとき、メーデイアがタロースを欺いて倒したとされるが、ポイアースがタロースの踵を射抜いて殺したという説もある。
最もよく知られるのが、ヘーラクレースの最期に関わる挿話である。ヘーラクレースはオイテー山で火葬壇を築いてその上に登り、火をつけるよう命じたが、誰も従おうとしなかった。そこへ羊の群れを探して通りかかったポイアースが火をつけた。ヘーラクレースはポイアースに弓を与えた。
ヒュギーヌスでは、ピロクテーテースが火葬壇を築き、弓を譲られたとする。
この弓は、のちに予言者カルカースによって、トロイア戦争でギリシア勢が勝利する条件とされた。
図像と象徴
固有の図像は伝わらず、本サイトも主画像を掲げない。
この人物が担うのは、ヘーラクレースの弓の継承という機能である。英雄の火葬に火をつけた者が弓を受け取り、その弓がトロイア戦争の帰趨を決める。ポイアースかピロクテーテースか——父子のどちらが受け取ったかは資料によって異なるが、いずれにせよこの家に弓が渡ったことは一致する。
火葬壇に火をつけるという行為が、弓の授与の理由になっている点も見逃せない。死にゆく英雄の最後の願いを聞き届けた者が、その武器を継ぐ。
関わる神格・伝承
子はピロクテーテース。ヘーラクレースから弓を受け取った。
ピロクテーテースはトロイアへの途上で蛇に噛まれ、レームノス島に置き去りにされる。ソポクレース『ピロクテーテース』は、その弓を得るためにオデュッセウスとネオプトレモスが島を訪れる場面を扱う。
文化的足跡
日本語圏では、ヘーラクレースの火葬壇に火をつけた者として言及されることがある。ピロクテーテースの父としての名は、ソポクレースの悲劇を通じて知られる。