賓頭盧
びんずる · おびんずるさま · 賓頭盧尊者
釈迦の弟子で十六羅漢の第一。神通を人前で用いて釈迦に叱責され、涅槃に入らず世に留まって衆生を導くよう命じられた。日本では「おびんずるさま」として堂の外に置かれ、撫でると病が癒えるとされる。
解説
概要
賓頭盧(びんずる、Piṇḍola-Bhāradvāja ピンドーラ・バーラドヴァージャ)は、釈迦の弟子の一人である。獅子吼第一と称される。十六羅漢の第一。バーラドヴァージャはバラモン十八姓のなかの一つである。
漢訳では賓頭盧跋羅堕闍、賓頭盧突羅闍などと音写する。略称して賓頭盧(尊者)と呼ばれる。
人物
出身には諸説ある。ヴァンサ国コーサンビーのウダヤナ(優填)王の家臣で、王はその精勤なるを見て出家せしめたという。あるいはその家臣の子で、幼時に仏教に帰依し、出家して沙弥となり、のちに具足戒を受けて諸処に遊行伝道したという。
博識であり慈悲深く十善を尊重し、阿羅漢果を得て神通力を得た。白髪長眉の相があったといわれる。その説法が他の異論反論を許さずライオンのようであったため獅子吼第一といわれるようになった。
神通の戒め
伝えによれば、賓頭盧は神通力を人前で用いて釈迦に叱責された。長者が高い竿の上に鉢を置いて「取れる者に与える」と言ったとき、賓頭盧は空を飛んでこれを取った。釈迦は、神通を見世物にすることを戒め、賓頭盧に涅槃に入ることを許さず、釈迦の滅後も世に留まって衆生を導くよう命じたという。
このため賓頭盧は、釈迦滅後も入滅せず、この世に留まり続ける羅漢とされる。
日本における信仰
日本では「おびんずるさま」として、寺院の本堂の外陣や縁側に赤い衣をまとった像が置かれる。参拝者が自分の患部と同じ場所を撫でると病が癒えるとされ、「撫で仏」として親しまれた。
多くの賓頭盧像は、撫でられ続けて摩耗し、顔の造作が失われている。信仰の痕跡が像そのものに刻まれている。
図像と象徴
本サイトが掲げるのは、大阪・三津寺の賓頭盧像である。
白髪長眉の老僧が坐す姿で、赤い衣をまとうことが多い。堂内ではなく堂の外に置かれるのは、釈迦の叱責によって僧団の席から外されたという伝えによる。
涅槃に入らず留まる羅漢という位置が、この人物を規定する。悟りを得ながら世に留まり、人の病を癒す。
関わる神格・伝承
釈迦の弟子。十六羅漢の第一。ウダヤナ王を仏教に帰依させたとも伝えられる。
文化的足跡
奈良・東大寺大仏殿前の賓頭盧像をはじめ、日本の多くの寺院に撫で仏として安置されている。
なお日本の仏教と神道は今日も信仰されている生きた宗教であり、本項の記述はその尊格の伝承と図像に関する学術的な整理である。