ペンテシレイア
ペンテシレア · ペンテジレーア · Penthesilea
アレースの娘でアマゾーンの女王。トロイアに来援してアキレウスと一騎打ちし敗れた。死の瞬間に兜が外れ、その美しさにアキレウスは恋したという。クライストの戯曲でも知られる。
解説
概要
ペンテシレイア(Πενθεσίλεια)は、ギリシア神話の女性である。アマゾーンの女王で、アレースとオトレーレーの娘。メラニッペーと姉妹の関係にある。
トロイア戦争に際してトロイア軍側について戦った。誇り高く美しい女性であったが、アキレウスと一対一で戦って敗れた。
神話・物語
ヘクトールの死後、ペンテシレイアはアマゾーンの一隊を率いてトロイアに来援した。狩りの最中に誤って姉妹ヒッポリュテーを殺し、その穢れを祓うために来たとも、プリアモスに穢れを祓ってもらった礼として戦ったともいう。
トロイア方の戦士として多くのギリシア兵を討ったが、ついにアキレウスと対決し、槍に貫かれて死んだ。
死の瞬間、兜が外れてその顔が現れたとき、アキレウスは彼女の美しさに心を打たれ、恋に落ちたという。この場面を嘲ったテルシーテースを、アキレウスは殴り殺した。
失われた叙事詩『アイティオピス』がこの物語を語り、スミュルナのクイントゥス『ポストホメーリカ』第1巻に詳しい。
図像と象徴
固有の図像は伝わらず、本サイトも主画像を掲げない。ただしエクセキアス作の黒絵式アンフォラ(大英博物館蔵)——アキレウスがペンテシレイアを刺す瞬間に二人の目が合う場面——は、ギリシア壺絵の名作として名高い。
殺す瞬間に恋するという構図が、この物語の核心である。敵として倒した相手が、倒れて初めて女として現れる。戦と愛が同じ一点で交差する。
関わる神格・伝承
父はアレース、母はオトレーレー。討ち手はアキレウス。
アマゾーンの女王としては、ヘーラクレースの帯の功業の相手ヒッポリュテー、テーセウスの妻アンティオペーと並ぶ。
文化的足跡
クライスト『ペンテジレーア』(1808年)は、この物語を大きく変えた。ペンテジレーアがアキレウスを愛し、狂乱のなかで彼を殺し、その身体を犬とともに引き裂く。19世紀ドイツ文学の最も過激な作品の一つとされる。
日本語圏では、アキレウスと戦ったアマゾーンの女王として、また壺絵の主題として知られる。