プナンガラン
プナンガラン · プナンガル · Penanggalan
マレーの夜の吸血の霊で、女の首が内臓を垂らしたまま胴から抜け出し火の玉のようにきらめいて飛び、産婦の血を吸う。戻ったとき膨れた内臓を酢の桶に浸して縮めるため、家に酢の匂いがする女が疑われた。昼は産婆として暮らすとされる。タイのクラスー、バリのレヤックと同じ造形である。
解説
概要
プナンガラン(プナンガルとも)は、東南アジアのマレーの民間伝承に語られる、夜に現れる吸血の女の霊である。女の首が内臓を垂らしたまま胴から抜け出し、火の玉のようにきらめきながら飛んで、出産中や出産直後の女性の血を吸う。昼は普通の女性、しばしば産婆として暮らしているとされる。タイのクラスーやバリのレヤックと同じ姿を持つ、東南アジアに広く分布する首の霊の一つである。
神話・物語
プナンガランは、昼は普通の女性として暮らしている。夜になると、首が内臓を垂らしたまま胴から抜け出す。遠くからは、鬼火のようにきらめいて見えるという。戻ってきたときには、膨れた内臓を酢の入った桶に浸して縮め、体に戻す。そのため、家から酢の匂いがする女性は疑われた。W・W・スキート『マレーの呪術』(1900年)が伝える起源の話では、苦行のために酢の桶に坐っていた女性が、不意に男に声をかけられ、驚いて顎を激しく跳ね上げたため、首が内臓ごと胴から抜けて飛び去ったという。
プナンガランは、出産中や出産直後の女性の血を吸う。出産の場に立ち会う産婆が、プナンガランではないかと疑われることもあった。身を守るため、家のまわりには棘のある植物が置かれた。飛んでくるプナンガランの内臓が、棘に引っかかるからである。産婦の枕元には、鋏が置かれた。
図像と象徴
内臓を垂らして宙に浮かぶ女の首として描かれる。主画像は2022年に描かれた現代の図である。
系譜と関係
女の首が内臓を垂らしたまま飛ぶ霊は、タイではクラスー、バリではレヤックと呼ばれる。フィリピンのマナナンガルは、首ではなく上半身が分かれて飛ぶ。こうした霊は、仏教、ヒンドゥー教、イスラーム、キリスト教と、宗教の違う地域に共通して見られる。
文化的足跡
プナンガランは、マレーシアのホラー映画にしばしば登場する。
なお東南アジアの伝統は今日も継承されている生きた文化であり、本項の記述はその伝承に関する学術的な整理である。