ウーレア
ウレア · ウーロス · Ourea
ヘーシオドス『神統記』でガイアが原初に生み出した「山々」の神。複数形であり、地形そのものの神格化にとどまる。ウーラノスとポントスの兄弟にあたる。
解説
概要
ウーレア(Οὔρεα / Ourea、単数形ウーロス)は、ギリシア神話で山々を神格化した原初の存在である。名はそのまま「山々」を意味する複数形で、個々の山ではなく山というもの全体を指す。ヘーシオドス『神統記』では、ガイアが交わりなしに生んだ子の一つに数えられる。
神話・物語
『神統記』(126〜132行)によれば、ガイアはまず自分と同じ大きさの星空ウーラノスを生み、神々の揺るぎない座とした。次いで長く連なる山々を生み、それは谷あいに住むニュンペーたちの好ましい住まいとなった。さらに、波の荒れ狂う不毛の海ポントスを、愛の交わりなしに生んだ。天と山と海という世界の骨組みが、大地から単独で生じたことになる。
固有の物語は伝わらず、ウーレアの名が神話のなかで働くのはこの一節だけである。
図像と象徴
固有の図像は伝わらず、本サイトも主画像を掲げない。
複数形であることが、この存在の性格を示している。同じくガイアの子であるウーラノスやポントスが、のちに配偶者や子をもつ神として語られるのに対し、ウーレアは名を与えられただけで、地形と神格の境目にとどまっている。
系譜と関係
母はガイア。兄弟はウーラノスとポントス。
個々の山を人格化した神は、これとは別に各地で語られた。リューディアの山の神トモーロスは、オウィディウス『変身物語』第11巻でアポローンとパーンの音楽比べの審判を務める。ボイオーティアの女流詩人コリンナ(年代は前5世紀とも前3世紀ともいう)は、ヘリコーン山とキタイローン山が歌で競い、キタイローンが勝ったと歌った。ウーレアはこうした山の神々の総称にあたる。
領分・別名
親・配偶者・子までを表示(全体はフル系図ページへ)。実線=主要伝承/点線=異伝・別系統。