ニャンベ
ニャンベ · ニャンビ · ンジャンビ
バントゥ諸語圏における至高神の名で、ンジャンビ・ンザンビ・ニャンビなど各地で音を変えて分布する。ロジの伝承では、人が真似るのを嫌って蜘蛛の糸で天へ逃れ、蜘蛛が目を潰されて道が失われた。バントゥ拡散の歴史を示す。
解説
概要
ニャンベは、さまざまなバントゥ語圏の文化において、至高の存在、宇宙の創造者、天空の父、太陽の神、そしてすべての生命の源を指すのに用いられる名である。
異なるアフリカの文化が、創造者に対してさまざまな名——ンジャンベ、ンジャンビ、ニャメ、ニャンビ、ニェンビ、ンザンビ、ンザンベ、ンゼミ——を用いるが、その観念はおおむね同じである。すなわち、天の父としてその創造を見守る唯一の至高神である。
なお本サイトの分類では、アフリカの体系に含めて扱う。
名の広がり
バントゥ祖語 *Nyambe が、バントゥ諸語の分化とともに各地で音を変えた。中央アフリカから南部アフリカにかけて、この語根を持つ神名が広く分布する。
アカンのニャメも同じ語根に由来するとする説があるが、アカン語はバントゥ諸語ではなく、直接の系統関係は確定していない。
同じ名が数千キロにわたって分布することは、バントゥ諸族の拡散の歴史を示す。
ロジの伝承
ザンビアのロジ人の伝承において、ニャンベは妻ナサレとともに地上に住んでいた。
人間カムンは、ニャンベが作るものをすべて真似た。ニャンベが動物を作れば人も狩り、道具を作れば人も作った。
煩わしく思ったニャンベは、蜘蛛の糸をつたって天へ逃れた。蜘蛛は昇ったのち目を潰され、道が失われた。
人が天へ至る道が断たれるという結末である。至高神が遠ざかる型の一つの形である。
職能
至高神であるが、直接に祀られることは少ない。日常の祭祀は祖先の霊に向けられる。
葬礼において、死者がニャンベのもとへ行くとされる地域もある。
図像と象徴
本サイトが掲げるのは、座した男性像である(メトロポリタン美術館蔵)。
関わる神格・伝承
ムルング、ンザンビ、レザと同じ観念。バコンゴ人が最も広くこの名を用いる。
文化的足跡
バントゥ諸語の神名の分布は、言語学と歴史学において、バントゥ拡散の経路を再構成する手がかりとして用いられてきた。
なおこれらの宗教は今日も信仰されている生きた伝統であり、本項の記述はその神格の伝承と図像に関する学術的な整理である。