ンヒアリク
ンヒアリク · デング・ディト · Nhialic
南スーダンのディンカ人の至高の創造神で天に住む。初め天と地は綱でつながれていたが、最初の女アブクが長い柄の鋤で天を打ったため綱を切り、人は働き病み死ぬようになった。牛を捧げることが最も重い供犠である。
解説
概要
ンヒアリクは、現在の南スーダンに住むディンカ人の万神殿における至高の創造神である。
ディンカ語の文脈で用いられるとき、この語はディンカの万神殿の神々の全体を指すこともできる。一部の記述において、ンヒアリクはデング・ディトとしても知られる。
なお本サイトの分類では、アフリカの体系に含めて扱う。
性格
独立した存在として、ンヒアリクは天に住む至高の創造神である。男性として言及されるが、物質的な顕現を持たない。
ンヒアリクは最初の男女を創り、彼らに一日一粒の穀物を与えた。
綱が切れる。 初め、天と地は綱でつながれており、人は必要なだけ神のもとへ行くことができた。
しかし最初の女アブクが、欲を出して一度に多くの穀物を植えようとし、長い柄の鋤で天を打った。怒ったンヒアリクは綱を切り、人を天から切り離した。
以後、人は働いて食を得、病み、死ぬようになった。
アカンのニャメが老女の杵を嫌って天に去ったのと同じ型である。神が遠ざかる理由が、女の農作業にあるという点まで一致する。
ジャク
ディンカの信仰において、ンヒアリクは至高神だが、日常に関わるのはジャク(複数の霊的な力)である。デング(雨)、ガラング、マチャルディト、アブクらがこれにあたる。
図像と象徴
固有の図像は伝わらず、本サイトも主画像を掲げない。ディンカにおいて、神を像に表すことはない。
牛が祭祀の中心である。ディンカは牛牧民であり、牛を捧げることが最も重い供犠である。個人が自らの雄牛を持ち、その色と模様によって詩を作る習俗がある。
関わる神格・伝承
デングと同一視されることがある。アブクは最初の女にして穀物の女神。
文化的足跡
ディンカの宗教は、ゴドフリー・リーンハート『神と経験』(1961年)によって詳細に記録された。アフリカの宗教研究における古典である。
なおこれらの宗教は今日も信仰されている生きた伝統であり、本項の記述はその神格の伝承と図像に関する学術的な整理である。