デング
デング · デンカ · デング・ディト
ディンカ人の天空・雨・豊穣の神で、最初の女アブクの子。地上の食物の生産を支配し祖先ともされる。一方、隣接するヌエル人にとっては「外来の神」「病をもたらす者」であり、同じ神が民族の関係によって正反対に評価される。
解説
概要
デング(デンカ、デング・ディト、ディーング、ディンガ・ディトとしても知られる)は、スーダンと南スーダンのディンカ人のディンカ神話における天空、雨、豊穣の神である。
女神アブクの子であり、アブクは最初に土地を実らせ人々に糧を与えた最初の女とされる。
デングは地上の食物の生産を支配し、一部の神話は彼をディンカ人の祖先とする。
ヌエル人のあいだでは、デングは「外来の神」であり「病をもたらす者」とみなされる。
なお本サイトの分類では、アフリカの体系に含めて扱う。
民族による評価の差
同じ神が、隣接する民族によって正反対に評価されるという点が注目される。
ディンカにとってデングは雨と豊穣をもたらす祖先であり、ヌエルにとっては病をもたらす外来の神である。
ディンカとヌエルは長く争ってきた。敵の神が病をもたらす者とされるのは、この関係を反映する。
神の評価は関係によって変わる。 同じ現象が、イグボのエクウェンスがキリスト教によって悪魔とされたのと同型である。
名
「デング」の名は、ディンカ人の男子名として広く用いられる。神の名が日常の人名になっている。
「ディンカ」という民族名自体が、この神の名と関わるとする説がある。ただし確証はない。
職能
雨をもたらす。雨乞いの儀礼において、雨の司祭(ベニー・ボル、「槍の主」)がデングに祈った。
槍の主は、ディンカ社会において最も重い霊的な権威を持つ。雨と、争いの調停と、犠牲の執行を担った。
図像と象徴
固有の図像は伝わらず、本サイトも主画像を掲げない。
関わる神格・伝承
母はアブク。ンヒアリクと同一視されることがある。
文化的足跡
デング熱の名は、この神とは無関係である。スワヒリ語の「キ・デンガ・ペポ」(霊による発作)に由来するという説と、スペイン語のデングエ(気取り)に由来するという説がある。
なおこれらの宗教は今日も信仰されている生きた伝統であり、本項の記述はその神格の伝承と図像に関する学術的な整理である。