モルヴラン
モルヴラン · アヴァグドゥ · Morfran
ウェールズの魔女ケリドウェンの子で、あまりに醜いため母が一年と一日かけて知恵の薬を煮たが、最初の三滴はかき混ぜ役の少年が得てタリエシンとなった。『キルッフとオルウェン』では、醜さゆえにカムランの戦いで誰も武器を向けなかったとされる。
解説
概要
モルヴランは、ケルトのウェールズの伝承に登場する、魔女ケリドウェンの息子である。あまりに醜かったため、母は一年と一日をかけて知恵を授ける薬を煮たが、その最初の三滴は別の少年が口にし、少年はのちの詩人タリエシンとなった。何も得られなかったモルヴランは、最後の戦いでは醜さゆえに生き延びたと伝えられる。名は「鵜」を意味する。
神話・物語
16世紀に書き留められた『タリエシン物語』によれば、モルヴランはアヴァグドゥ(「真っ暗闇」)とも呼ばれ、その醜さを案じた母ケリドウェンは、息子に知恵を与えようと考えた。大釜で一年と一日のあいだ霊感の薬を煮る。最初の三滴を飲めば、あらゆる知恵が得られるはずであった。
ところが、大釜をかき混ぜる役の少年グウィオン・バッハの指に、その三滴が跳ねかかった。熱さのあまり指を舐めた少年が、知恵を得てしまう。残りの薬は毒に変わり、大釜は割れた。怒ったケリドウェンは少年を追い、二人は次々と姿を変えながら追いつ追われつした。最後に麦の粒になった少年は、雌鶏に姿を変えたケリドウェンに呑み込まれ、九か月ののち、詩人タリエシンとして生まれ直した。
『キルッフとオルウェン』は、アーサーの宮廷の勇士を列挙するなかで「テギドの子モルヴラン」の名を挙げ、カムランの戦いでは、あまりに醜いため悪魔が加勢しているのだと思われ、誰も彼に武器を向けなかったと記す。その身には牡鹿のような毛が生えていたという。
図像と象徴
固有の図像は伝わらず、本サイトも主画像を掲げない。
系譜と関係
母はケリドウェン、父はテギド・ヴォエル。知恵をタリエシンに奪われた。
文化的足跡
「モルヴラン」は、今日のウェールズ語で「鵜」を意味する語である。
なおケルトの伝承は今日も語り継がれており、本項の記述はその伝承に関する学術的な整理である。