ケリドウェン
ケリドウェン · ケリドウェン · Ceridwen
中世ウェールズの魔女で、霊感の大釜を所有する。息子のために煮た霊薬の三滴を舐めた召使いグウィオンを、姿を変えて追い、麦粒となった彼を雌鶏として呑み込んで再び産んだ。その子が詩人タリエシンである。
解説
概要
ケリドウェン(Ceridwen、ケリドウェンとも)は、中世ウェールズの伝説における魔女である。
醜い息子モルヴランと美しい娘クレイルウィの母であった。夫はテギド・ヴォエルで、二人は北ウェールズのスリン・テギド(バラ湖)の近くに住んでいた。
中世ウェールズの詩は、彼女が詩的霊感(アウェン)の大釜を所有すると述べ、『タリエシンの物語』は、彼女が召使いグウィオン・バッハを呑み込み、その後彼女を通じて詩人タリエシンとして再び生まれる次第を語る。
神話・物語
ケリドウェンは、醜い息子モルヴラン(アヴァグズ)を憐れみ、これに知恵を与えようとした。一年と一日のあいだ煮続けねばならない霊感の大釜を仕込み、盲人モルダと少年グウィオン・バッハに火の番をさせた。
最後の日、鍋から三滴が飛んでグウィオンの指にかかった。熱さに指を口に入れたグウィオンは、たちまち一切の知識を得た。残りの液は毒となり、鍋は割れた。
怒ったケリドウェンはグウィオンを追った。グウィオンは兎に、ケリドウェンは犬に。グウィオンは魚に、ケリドウェンは川獺に。グウィオンは鳥に、ケリドウェンは鷹に。ついにグウィオンは麦粒になり、ケリドウェンは雌鶏になってこれを呑み込んだ。
九か月後、ケリドウェンは子を産んだ。殺すに忍びず、革袋に入れて海に流した。この子が拾われて、詩人タリエシンとなった。
図像と象徴
本サイトが掲げるのは、ケリドウェンの図である。
変身の追跡が、この物語の中心である。追う者と追われる者が次々に姿を変え、最後に呑み込むことで終わる。呑み込みが受胎になり、追跡が出産に転じる。
大釜は、ウェールズ神話における重要な主題である。ブラーンの再生の大釜、アンヌンの大釜——霊感の大釜もその系列に属する。
現代異教主義における位置
ケリドウェンは、多くの現代の異教徒によって、再生、変容、霊感のケルトの女神とみなされている。ただし中世の文献において、彼女は女神ではなく魔女として描かれる。この解釈は、19世紀以降の再構成によるものであり、中世の資料に根拠を持たない。
関わる神格・伝承
夫はテギド・ヴォエル、子はモルヴランとクレイルウィ、そして再生させたタリエシン。
文化的足跡
タリエシンの物語は、ウェールズの詩の伝統の起源譚として、今日も語られる。