モドロン
モドロン · マトローナ · Modron
ウェールズの母なる存在でマボンの母。名は「母」を意味し、ガリアの女神マトローナに由来する。ハドリアヌスの長城周辺で母子神マトローナ・マポノスが崇拝された。アーサー王伝説のモルガン・ル・フェイの原型とされる。
解説
概要
モドロン(Modron、「母」)は、ウェールズの伝統における存在で、英雄マボン・アプ・モドロンの母として知られる。
両者ともより古い神的な存在に由来する可能性があり、彼女の場合はガリアの女神マトローナである。アーサー王伝説のモルガン・ル・フェイの原型であったかもしれない。
起源
モドロンはウェールズの伝統において、主として超自然的な母の姿で現れる。ガリアで崇拝されたことが知られるケルトの女神マトローナに由来するとみられる。同様に、モドロンの子マボン(「若者」)は、若さの神マポノスに由来するように見える。
マトローナとマポノスはともにハドリアヌスの長城周辺で崇拝され、これがモドロンとマボンが長城に関連する文学において卓越することを説明するかもしれない。
マトローナはマルヌ川——ガリアの川——の名祖でもある。「母なる川」の女神である。
伝承
中世ウェールズの民話によれば、レゲドの王ウリエンが、浅瀬で犬たちが吠えているのを見に行くと、そこに髪を洗っている女性がいた。ウリエンは彼女と交わった。女性は、自分は異界アンヌンの王の娘で、人の子を身ごもるまで洗い場にとどまらなければならない呪いをかけられていたと告げ、一年ののちに子を渡すと約束した。生まれたのが、オワインとモルヴィズであった。この物語は、アイルランドのバンシーや、ケルトの夜の洗濯女と同じ、水辺で洗濯をする超自然の女性の型に属している。
ガリアやブリテンには、三柱一組の母神(マトレース、マトローナエ)に捧げた碑や浮彫が数多く残っている。三人の女性が果物や幼子を抱く図像である。モドロンの名は、この母神への信仰の記憶を伝えるものとみられる。
図像と象徴
本サイトが掲げるのは、ガリアの女神マトローナの図である。
母としてのみ存在する女神という位置が、この人物を規定する。名が「母」であり、その子の名が「息子」である。個別の名を持たない母子が、ケルトの母子神の対を示す。
関わる神格・伝承
子はマボン。マトローナに由来。モルガン・ル・フェイの原型とされる。ウリエンの妻とする伝えがある。
文化的足跡
モルガン・ル・フェイの名の「モルガン」は、モドロンとは別語源とされるが、ウリエンの妻という設定は両者に共通する。アーサー王伝説の魔女が、ケルトの母神に遡るという説の根拠である。