ミーナークシー
ミーナークシー · ミーナーッチ · タダーダカイ
マドゥライの守護女神でパールヴァティーの一形態。名は「魚の目を持つ女」。火から三つの乳房を持つ少女として生まれ、三界を征服したのちシヴァを見て第三の乳房が消え花嫁となった。寺院では夫より上位に置かれる。
解説
概要
ミーナークシー(Meenakshi、ミーナーッチとも)は、ヒンドゥー教の女神である。女神パールヴァティーの一形態とみなされ、マドゥライの守護神である。
カーマークシー(カーンチープラム)、ヴィシャーラークシー(ヴァーラーナシー)とともに、アーディ・シャクティの三つの化身の一つとされる。シヴァの一形態スンダレーシュヴァラの神妃、そしてヴィシュヌの一形態アラガルの妹とされる。
ミーナークシーはタミル文学において古代パーンディヤ王国の戦士女王として言及され、のちに神格化された。主として南インドで崇拝される。
名
名は「魚の目を持つ女」を意味する。ミーナ(魚)+アークシー(目)である。細長く美しい目を魚に譬えるのは、タミル文学の常套の比喩である。
別名タダーダカイ(「太い髪の女」)、アンガヤルカンニ(「美しい魚の目の女」)。
神話・物語
『ティルヴィライヤーダル・プラーナム』によれば、パーンディヤ王マラヤドヴァジャは子がなく、祭式を行った。火のなかから三歳の少女が現れたが、乳房が三つあった。天の声が「婿に会うとき第三の乳房が消える」と告げた。
王は少女を後継者として育て、武芸を教えた。ミーナークシーは即位して三界を征服し、カイラーサ山でシヴァと対峙した。シヴァを見た瞬間、第三の乳房が消え、彼女は恥じらう花嫁となった。
シヴァはスンダレーシュヴァラとしてマドゥライに来て、二人は婚礼を挙げた。この婚礼は今日もチッティライ祭として毎年再演される。
女神が主で神が従。 マドゥライの寺院において、ミーナークシーは夫スンダレーシュヴァラより上位に置かれる。参拝者はまず女神を拝し、次に神を拝する。女神を主とする寺院として、南インドで例外的な位置を占める。
図像と象徴
本サイトが掲げるのは、女神ミーナークシーの図である。
緑色の身色で、右手に鸚鵡を留まらせ、左手に蓮華を持つ姿が定型である。鸚鵡はタミルの言葉と詩の象徴とされる。
戦士から花嫁へという転換が、この女神を規定する。三界を征服した女王が、夫を見た瞬間に恥じらう。しかし婚礼ののちも、寺院において女神は主であり続ける。
関わる神格・伝承
パールヴァティーの一形態。夫はスンダレーシュヴァラ(シヴァ)。兄はアラガル(ヴィシュヌ)。
文化的足跡
マドゥライのミーナークシー・アンマン寺院は、南インドで最も名高い寺院の一つであり、極彩色の巨大な塔門(ゴープラム)で知られる。年間の参拝者は一千万人を超える。
なおヒンドゥー教は今日も信仰されている生きた宗教であり、本項の記述はその神格の伝承と図像に関する学術的な整理である。