大随求菩薩
だいずいくぼさつ · 随求菩薩 · 随求大明王
観音の変化身で「求めに随う」を意味する。その陀羅尼を唱えれば願いが叶うとされ、護符として身につけられた。尊格より陀羅尼が重んじられ本尊とされることは少ない。清水寺随求堂の胎内めぐりで知られる。
解説
概要
大随求菩薩は、仏教、とりわけ密教における菩薩の一尊である。
梵名マハー・プラティサラー、漢訳音写は摩訶鉢羅底薩落。異名は随求菩薩、随求大明王。密号は与願金剛。
概要
胎蔵界曼荼羅の蓮華部院に在す。観音菩薩の変化身とされる。原名は法術・護符・僕婢などの意を持つことから、この菩薩を念じてその真言を読誦すれば、衆生の求願に随い施し与えるをもって随求と名づける。またその真言を随求陀羅尼という。
この尊の真言には息災・滅罪、とりわけ求子の功能が歓ばれて平安時代以降に隆盛になったが、単純に真言を唱えるのみで、あまり尊格としては重んじられなかったため、本尊とされることは少ない。
随求陀羅尼は護符として身につけられた。経文を記した小さな紙や布を身につけて災厄を除く習俗は、インドから中国、日本に伝わった。
図像と象徴
本サイトが掲げるのは、大随求菩薩の図である。
曼荼羅の姿形には、身は黄色で宝冠があり、そのなかに化仏がある。慈悲・円満相で八臂を持ち、右手に五鈷杵・剣・鉞斧・三股戟、左手には法輪を載せた蓮華・索・宝幢・梵篋と、両側に林立し蓮華に座す。ただし持物に多少相違がある。
宋の法賢が訳した『瑜伽大教王経』には、四面八臂で各三眼で、梵篋の代わりに弓箭をもつ姿であると説いているが、日本には伝わらなかった。
尊格より陀羅尼が重んじられたという点が、この菩薩の性格を示している。名が「求めに随う」を意味し、その陀羅尼を唱えれば願いが叶うという実践が、尊格そのものへの信仰に先行した。
関わる神格・伝承
観音の変化身。五守護女尊(パーンチャ・ラクシャー)の一尊として、孔雀明王と同列に置かれることもある。
文化的足跡
京都・清水寺の随求堂は、大随求菩薩を本尊とし、堂の地下を暗闇のなかで巡る「胎内めぐり」で知られる。
なお仏教は今日も信仰されている生きた宗教であり、本項の記述はその尊格の伝承と図像に関する学術的な整理である。