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ライストリューゴーン族
PLATE — ΛΑΙΣΤΡΥΓΌΝΕΣ
HELLAS · ギリシア神話
ΛΑΙΣΤΡΥΓΌΝΕΣ

ライストリューゴーン族

ラエストリゴネス · ライストリュゴネス · Laistrygones

Musei Vaticani, Biblioteca Apostolica PUBLIC DOMAIN

オデュッセウスの船団を岩で沈めた人食い巨人の種族。十二隻のうち十一隻を失わせた、航海最大の損害の原因である。

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解説

概要

ライストリューゴーン族(Λαιστρυγόνες / Laestrygonians)は、ホメーロス『オデュッセイア』第十歌に現れる人食い巨人の種族である。オデュッセウスの船団を港に迎え入れたのち、崖の上から巨岩を投げつけて船を沈め、海に落ちた者を突き刺して持ち去った。

この一件で船団は十二隻から一隻へ減る。帰郷の物語における最大の損害であり、以後オデュッセウスは自船だけで漂うことになる。

登場する物語

彼らの国テーレピュロスは、夜が短く昼が長い土地として描かれる。牧夫が羊を追い入れるとき、外へ出す牧夫がそれに応える——眠らずに働けば二重の賃金が得られる、というのである。白夜に近い高緯度の記憶とみる解釈が古くからあるが、確かなことは分からない。

船団は狭い入口の良港を見つけ、十一隻を中へ入れた。オデュッセウスの船だけが外に留まる。この慎重さが、彼だけを生かした。偵察に出た三人が王アンティパテースの館へ向かうと、泉のほとりで水を汲む王の娘に出会い、案内される。館では山のような大きさの王妃が現れ、王は一人を掴んで食事の支度にかかった。

逃げ帰る者たちを追って、無数の巨人が崖の縁から巨岩を投げ落とす。港のなかの船は逃げ場がなく、次々に砕かれた。人々は魚のように突き刺され、夕餉として運ばれていく。オデュッセウスは剣で自船の綱を切り、漕ぎ手を急がせて外洋へ逃れた。

キュクロープスの挿話と対をなす構成になっている。どちらも人食いの巨人であり、どちらも歓待の掟(クセニアー)を裏返しにする。だが決定的な違いがある。ポリュペーモスは一人であり、策で欺くことができた。ライストリューゴーン族は無数であり、逃げるほかない。知略の英雄が知略を用いる余地のない相手として置かれているのである。

後代の伝承は彼らの国を各地に比定した。シケリアのレオンティノイ近くとする説と、ラティウムのフォルミアエとする説が有力で、ホラティウスは後者を採る。ラミアーの別名とされるモルモーをこの種族の女王だったとする古註もある。

図像と象徴

古代の作例として名高いのが、本項に掲げた「オデュッセイア風景画」である。ローマのエスクィリーノ丘のウィア・グラツィオーサの家から出土した壁画群で、前1世紀後半の作。現在はヴァチカン図書館に所蔵される。

この作例が重要なのは、人物ではなく風景が主題になっている点である。切り立った崖と入江が画面の大部分を占め、巨人と船はそのなかの小さな要素として配される。ヘレニズム期に発達した風景画の伝統をローマが受け継いだことを示す資料であり、西洋絵画における風景表現の起源をめぐる議論で繰り返し引かれてきた。物語を語る絵でありながら、物語の担い手が縮小されている。

壺絵にこの場面が選ばれることはほとんどなかった。無数の巨人が岩を投げるという光景は、限られた画面には収まりにくかったのだろう。

関係する神格・退治した英雄

王はアンティパテース、その妃と娘が物語に現れる。系譜は語られず、ポセイドーンの血筋ともキュクロープスの縁者とも明示されない。ヘーシオドスに帰される断片は、彼らをポセイドーンの子ライストリューゴーンの末裔とする。

文化的足跡

コンスタンディノス・カヴァフィスの詩『イタケー』(1911年)は、この種族の名を象徴として用いた。「ライストリューゴーン族もキュクロープスも、怒れるポセイドーンも恐れるな。魂が高く保たれているかぎり、そうしたものに出会うことはない」——外にある怪物ではなく、自らの内にあるものとして読み替えたのである。近代ギリシア詩を代表する一篇として広く知られている。

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領分・別名

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資料

Wikidata
Q743931 — 骨格データの出典
Commons
Laestrygonians — 図像カテゴリ