ココペリ
ココペリ · コーコペロレ · Kokopelli
北米南西部の豊穣と音楽の神。背中の曲がった笛吹きとして岩絵に描かれ、生まれる前の子供を背負って配るとされる。前1000年頃の土器に遡る図像は、先史美術で最も広く認識される主題の一つ。
解説
概要
ココペリ(Kokopelli)は、北米南西部の一部の先住民文化に崇敬される豊穣の神である。通常、背中の曲がった笛吹きとして描かれ、しばしば頭に羽毛あるいは触角のような突起を持つ。
多くの豊穣神と同じく、出産と農耕の双方を司る。トリックスターの神でもあり、音楽の霊を表す。
神話・物語
ホピでは、ココペリは生まれる前の子供たちを背中に負い、女たちに配る。そのため少女はしばしばこれを恐れる。婚姻に関わる儀礼にしばしば加わり、ココペリ自身がココペルマナという配偶者とともに描かれることもある。満月と欠けゆく月に、月の「人」や「兎」のようにココペリが見えるという。
獲物の繁殖も司り、そのため羊や鹿といった動物を伴って描かれる。日光浴をする蛇、水を好む蜥蜴や昆虫も、この神と結びつく。
農耕の相では、ココペリの笛の音が冬を追い払って春を呼ぶという。背中の瘤には種子が入っており、各地を旅して種を配るという伝えもある。
図像と象徴
本サイトが掲げるのは、ホピのカチナ人形の写真である。左がココペリ、右がその女性の対応者ココペルマナを表す。
岩絵と壁画に、この姿は繰り返し現れる。最古の作例は前1000年頃のホホカムの土器に遡り、以後アナサジ、モゴヨンの遺跡に広く分布する。背中の曲がった笛吹きという図像は、北米南西部の先史美術で最も広く認識される主題の一つである。
この図像の起源については諸説がある。背負い袋を持った旅の商人、昆虫(バッタあるいは蟻)の擬人化、実在した背骨の変形を持つ人物などである。「ココペリ」というホピ語の名は、この図像を指す一つの呼称にすぎず、他の民族は別の名で呼ぶ。
関わる伝承
ホピのカチナ——季節ごとに村を訪れる精霊——の一つとして、コーコペロレとその配偶者コーコペロマナがいる。岩絵の笛吹きとカチナのココペリを同一視するかどうかは、研究上の論点である。
文化的足跡
20世紀後半以降、ココペリの図像は北米南西部の観光と商業において広く用いられるようになった。土産物、看板、装飾に無数に現れる。この商業化に対しては、宗教的な意味を失わせるものとして批判もある。
なお北米先住民の諸伝統は今日も継承されている生きた信仰であり、物語の多くは特定の民族・氏族に属するものとして語られる。