カチナ
カチナ · カツィナ · Kachina
プエブロ諸族の霊的存在で、自然と祖先の霊。四百を超える種類がある。儀礼で仮面をつけた男はカチナを演じるのでなくカチナそのものになるとされ、木彫の人形は少女にその姿と名を教える教材である。儀礼の記録は厳しく禁じられている。
解説
概要
カチナ(ホピ語カツィナ、複数形カツィニム)は、アメリカ合衆国南西部に位置する先住民の文化であるプエブロ諸族の宗教的信仰における霊的な存在である。
プエブロ文化において、カチナの儀礼はホピ、ホピ・テワ、ズニの人々、および一部のケレス人、そしてニューメキシコの大半のプエブロで実践されている。
カチナの観念は三つの異なる相を持つ。
なお本サイトの分類では、北米先住民の体系に含めて扱う。
三つの相
霊的存在。 カチナは、自然と祖先の霊である。雨、作物、動物、天体、そして死者——あらゆるものにカチナがある。
四百を超える種類が知られる。
踊り手。 儀礼において、男が仮面をつけてカチナに扮する。
仮面をつけた者は、カチナを演じるのではなく、カチナそのものになるとされる。
人形。 カツィナ人形(ティフ)は、木彫の像である。少女に与えられ、カチナの姿と名を教えるために用いられる。
玩具ではなく、教材である。
暦
カチナは、冬至から夏至まで村に留まる。
到来。 ソヤル(冬至の儀礼)にカチナが来る。
去る。 ニマン(七月の儀礼)でサン・フランシスコ・ピークスへ帰る。
留守の期間。 夏至から冬至までは村にいない。この期間、別の儀礼が行われる。
撮影と公開の禁止
ホピとズニは、儀礼の撮影・録音・記録を厳しく禁じている。
外部への公開。 20世紀初頭、人類学者と写真家が儀礼を記録し公開したことに対し、強い抗議が続いてきた。
本サイトの方針。 儀礼の場面、および儀礼に用いられる仮面の画像は掲げない。
カツィナ人形については、市場で流通しているものであり、掲載の問題は少ないと判断される。ただし本項では、儀礼への配慮から主画像を掲げない。
図像と象徴
固有の図像は多いが、本サイトは主画像を掲げない。
関わる伝承
アウォナウィロナの体系に属する。プエブロ諸族に共通する。
文化的足跡
カツィナ人形は、20世紀に美術品として収集されるようになった。
しかし儀礼用の仮面と混同されることがあり、また偽物の流通も問題となっている。
近年、博物館に収蔵された儀礼用具の返還(NAGPRA、1990年)が進められている。
なお北米先住民の伝統は今日も継承されている生きた文化であり、本項の記述はその伝承に関する学術的な整理である。物語のうちには氏族や個人の所有物として扱われるものがあり、公開の場で語ることが適切でない場合がある。