カウィール
カウィール · 神K · アフ・ボロム・ツァカブ
力・創造・稲妻を司るマヤの神で、後古典期の神K。額から松明や石斧が出て生命の火花を象徴し、片脚が口を開いた蛇になっている。古典期の王が儀礼で持つ「マニキン笏」はこの神を象り、王権と血統に結びつく。
解説
概要
カウィール(Kʼawiil)は、後古典期の絵文書において神Kに対応するマヤの神であり、力、創造、稲妻と同定される。
獣の頭を持ち、大きな目、長く反り返った鼻、そして細い蛇の足を特徴とする。
創造の神として、カウィールは通常、額から松明、石斧、あるいは葉巻が出ており、これが生命の火花を象徴する。片方の脚は足で終わらず、口を開いた蛇になっており、そこから別の存在が現れることがある。
職能
稲妻と力の擬人化として、カウィールはしばしば雨の神に斧のように担がれ、あるいはマヤの支配者に笏として持たれる。
マニキン笏。 古典期マヤの王が儀礼において持つ「マニキン笏」は、このカウィールを象る。王が神を手に持つという図像であり、王権が神的な力を掌握することを示す。
パレンケ、ティカル、ヤシュチランなど、古典期の主要な遺跡の浮彫に繰り返し現れる。
血統。 カウィールは王家の血統と結びつけられた。開いた蛇の口から祖先が現れる図像は、王が神と祖先の系譜に連なることを表す。
名
「アフ・ボロム・ツァカブ」(無数の世代の主)は、ユカテコ・マヤにおけるこの神の呼称とされてきた。ディエゴ・デ・ランダが記録した名である。
「ボロム・ツァカブ」は「多くの世代」を意味し、血統との結びつきに対応する。
図像と象徴
本サイトが掲げるのは、ティカル出土の神Kの土偶である。
蛇の脚という造形が、この神を規定する。片脚が蛇に変わり、その口から別の存在が出る。身体が別の存在への通路になっている。
額から出る火は、稲妻が額から生じることの表現とみられる。
関わる神格・伝承
雨の神チャクに担がれる。王の笏として持たれる。神Kとも。
古典期の神名の多くは、絵文書の分類記号(神A〜神Y)で呼ばれてきた。碑文の解読が進み、カウィールのように本来の名が判明した例もある。
文化的足跡
カウィールの図像は、古典期マヤ美術において最も頻繁に現れるものの一つであり、王権のイコノグラフィーの中核をなす。