カッタヴァラーヤン
カッタヴァラーヤン · Kathavarayan
タミルの民間の神格で、名は「守る者」を意味する。伝承では低位カーストの出身で、バラモンの娘と駆け落ちして捕らえられ串刺しの刑に処され、死後に神として祀られた。一方、シヴァの子が呪いで地上に生まれたとする版もあり、カーストの対立を語る版と隠す版が併存する。
解説
概要
カッタヴァラーヤンは、南インドのタミル・ナードゥ州やスリランカのタミルの人々に祀られる民間の神である。名は「守る者」を意味する語を含む。伝承では、低いカーストに生まれた若者が高いカーストの娘と駆け落ちして捕らえられ、串刺しの刑に処されたのちに神として祀られたとされる。一方で、シヴァの子が呪いによって地上に生まれたとする版もあり、カーストの対立を語る版と、それを覆い隠す版とが並んで伝わっている。
なお本サイトの分類では、ヒンドゥーの体系に含めて扱う。
カーストを越えた恋
伝承によれば、カッタヴァラーヤンは低いカーストの出身であった。彼は高いカースト(バラモン)の娘アーリヤマーラーを愛し、二人は駆け落ちした。しかし王の兵に捕らえられ、カッタヴァラーヤンは串刺しの刑に処された。その死後、彼は神として祀られるようになった。カーストの境を越えた恋のために命を落とした者が、神となったのである。タミルの民間の神々には、共同体のために並外れた行いをした実在の人物が神となったものが多く、カッタヴァラーヤンもそうした人物だったと信じられている。
シヴァの子とする版
別の版では、カッタヴァラーヤンはシヴァとパールヴァティーの子とされる。呪いによって地上に生まれ、低いカーストの家で育ったというのである。この版は、低いカーストの神に、高い神の血筋を与えるものといえる。同じ神について、カーストの対立を語る版と、それを覆い隠す版とが並び伝わっているのである。どちらが古いかは定まっていないが、こうした二重性は、タミルの民間の神々に広く見られる。
串の祭
カッタヴァラーヤンの祭では、串(カルヴ)が立てられ、神が死を迎えた場面が儀礼として再び演じられる。
図像と象徴
本サイトが掲げるのは、カッタヴァラーヤンとその妻たちの像である。
関わる神格・伝承
シヴァとパールヴァティーの子とする版がある。
文化的足跡
カッタヴァラーヤンの物語は、タミルの民衆演劇(テルックットゥ)や映画で繰り返し演じられてきた。1958年のタミル映画がよく知られている。
なおヒンドゥー教は今日も信仰されている生きた宗教であり、本項の記述はその神格の伝承と図像に関する学術的な整理である。